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2012年05月31日

少女パレアナを読んで

少女パレアナ

著者:エレナ・ポーター
訳者:村岡花子




1962年に発行された古い本です。
最近ビジネス書ばかり読むようになって、小説を読むのは久しぶりなのですが、ビジネス書読書会の課題本で文学作品も取り上げられるようになったことや、ビジネス書を読んでいてもスピリチュアルな部分が重要になってきているということも鑑み、改めて小説の世界に浸ってみようかなと思っているのです。

文学作品も読んで、人の心が分かる一段上の人になりたいなと思います。

それで、最初に選んだのが、この本、『少女パレアナ』です。

先日の読書会の時に、一ヶ月に50冊程度読書されているすごい方に、これまで読んできた本の中でよかった本を教えてもらいまして、その内の一つがこの本でした。

笑いはなかったのですが、最初から最後まで幸せな気分で読むことができました。最後の方は結構泣ける場面もありました。(僕もまだ泣ける)

物語は、主人公のパレアナが母と父を亡くして、母の姉に引き取られるあたりから始まるという少し悲しい出だしです。引き取られた先の叔母もちょっと偏屈で義務で引き取ったという感じありありです。

でも、パレアナはめげたりしません。というか、めげないように努力しています。でもその「めげないようにする努力」こそがこの本の主題です。

「めげないようにする努力」とは、パレアナが亡き父に教わった「どんなに悪いことが起きても、そのことに対して喜びを見いだす」という遊びです。ビジネス書的に言えば「ポジティブ思考」ですと一言で終わりそうですが、やはり小説です。そんな単語一つでは片づけられない感動があります。

パレアナは、おばさんの家まで遠いのを喜び、おばさんに会えたことを喜び、通された殺風景な部屋でも片づけが早く終わると喜び、窓の景色を喜び、といったようにすべてに喜びを見いだします。

それだけでは止まらず、その喜びの遊びをいろんな人に広めます。病気でつらい人、考え方が偏屈な人皆に、喜び方を教えます。そのパレアナの明るさ、喜び方に、周囲のみんなは魅了され、パレアナを慕うようになっていくのです。

そんな感じでいろんな人との関わりが描かれていくのですが、ある時転機が訪れます。パレアナが事故に遭うのです。両足が動かなくなると聞かされたパレアナは喜びの遊びができなくなってしまいます。二度と歩けないということに喜びが見いだせないと、遊びができなくなってしまったのです。

このパレアナが喜びの遊びができなくなってしまったことが村中に広まると、今まで登場してこなかった人々も含めて多くの人がパレアナの家を慰問します。直接パレアナには会えないのですが、「こうすればパレアナが喜ぶんじゃないかと思いましたのでこのことをお伝えください」と、村中の人が押し寄せて来るのです。

パレアナの明るい性格が、喜びの遊びが、村中の人を変えていたのです。喜びの渦に巻き込んでいたのです。

そして、パレアナに喜びを教えてもらっていたお医者さんが、事故後ずっとパレアナの容態について見聞きしたことで考えて一つの結論をもって、パレアナを訪れ、クライマックスに入っていきます。

パレアナの喜びの遊び周辺のできごとだけで本書を紹介させてもらいましたが、その他の重要な話も含めてほんとに楽しく読めた本でした。

喜びの遊び、ほんとにいい遊びだと思います。そして本当にすごいのは、パレアナが、その遊びを自然と人々に広めていけるところだと思いました。それは行動力というのではなく、パレアナの人柄なんだと思います。そんな自然な振る舞いを身につけたいと強く思ったのでした。


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2012年05月29日

ゲーミフィケーションを読んで

ゲーミフィケーション

著者:神馬 豪




ビジネス戦略の本です。
ビジネスモデルにゲーム性を取り入れて、人々を熱狂の渦に巻き込み儲けようという本です。

最近、『情報の文明学』、『第三の波』、『ハイ・コンセプト』と情報革命についてだいぶ考えているのですが、マネー経済の中にいる我々にとって、情報をお金に変えようとする場合には、情報に値段を付ける必要があります。その値段がどう決まるかというと、情報を認識するのは、人々の脳なので、どれだけ脳を喜ばせることができるのかというのがポイントになってきます。
そこで重要なのが、本書で紹介するゲーミフィケーションと言ってもいいのではないかと思います。

本書では、ゲーミフィケーションを次のように説明しています。
生きる上で必ずしも必要のないゲーム。しかし、多くの人が関心を持ち、集まり、熱狂し、購入します。
この「買わせる魅力作り」、すなわち「ワクワク感の創出」を可能とするのがゲーム戦略です。

ワクワク感を作り出す3要素は、「共感」、「遊び心」、「物語」だそうです。『ハイ・コンセプト』で語られたこれから重要になってくる6つの要素の内の3つで、先を読んでいる人たちの考えていることって似ているんだなって思います。

本書では、「ゲーミフィケーション」と「ゲームビジネスメソッド」の2つを紹介しています。それぞれ役割が違っていて、ゲーミフィケーションは人々に熱狂を、ゲームビジネスメソッドは、購買意欲向上の仕組みです。

どちらかと言うと、ゲーミフィケーション主体で話が進められます。
ゲーミフィケーションは、第3章に17の技術として17項目紹介されています。
単語だけ並べると、「即時フィードバック」「レベルアップ」「レベルデザイン」「不足感」「シークレット」「スコアとランキング」「バッジと実績」「競争」「協力」「価値観の共有」「ストーリー」「カスタマイズ」「イベント」「リメンバー」「プレリレーションシップ」「グラフィカル」「驚嘆」です。

単語を見るだけでも、ゲーム世代の人々はわかるのではないでしょうか。

この本読んでると、昔僕が熱狂したゲームのことが思い出されます。

小学校の頃、親にファミコンの時間制限をされて、夜中にこっそり起きて「グーニーズ」っていうゲームをやったり。

大学の頃は、研究室で「エイジ・オブ・エンパイア」や「三国志」ってゲームにハマったり。

同じ時期に、「ディアブロ」ってゲームにハマりすぎて、筋収縮性頭痛という偏頭痛に悩まされたり。
※この時は、本当に酷かった。毎朝、目が覚めると頭が痛くて、僕は一人で脳腫瘍だと思って悩んでたな。実際にはゲームでクリックし過ぎたことが偏頭痛の原因だったんだけど・・・。ほんと、病院にCTスキャンとってくださいって言ってたな、懐かしい。頭が痛い→学校休む→ディアブロする→頭が痛い、という負のスパイラルに入り込んでいたんだ・・・。

とまあ、ゲームって熱狂できるんだよね。ほんとに、生きる上で必要ないものなのにね。
こんな実体験からもゲーム性をビジネス取り入れない理由はないよねって思ったりもしています。

なんだか客が集まらない、顧客が楽しそうじゃない、そんなことを思い出したら一度この本の第3章の要素を取り入れてはいかがでしょうか!?


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2012年05月26日

あなたの評価をがラッと変えるたった3秒の声がけ習慣を読んで

あなたの評価をがラッと変えるたった3秒の声がけ習慣を読んで

著者:渡瀬謙




人付き合いが苦手な私にとっては重要な本です。書いてある内容はすごく平易だけど、できてるかっていうと、すべてはできてないですね。最近だいぶ、心がけるようにはなってきたのですが・・・。

さて、著者が主張する声がけとは何かというと、コミュニケーションを向上させるための習慣です。これを行うことによって、
@自分の気持ちや考えを正確に伝えることができる。
Aお互いの意志を疎通させることができる。
B目に見えないコミュニケーションの壁を取り除くことができる

と主張されます。

恐らく、著者が主張したいのはBでしょう。@とAは想像がつきます。自分の能力対評価に満足していない人は、もしかしたらBの目に見えないコミュニケーションの壁がじゃましているのかもしれません。

で、こんな人は声がけ実践した方がいいよという人は、
・大事な仕事を任せてもらえない。
・同期に比べて、社内評価が低い。
・上司から飲みに誘われない。
・部下や後輩から頼りにされない。
・昼食に誘われない。
・周りの人との会話が少ない。
・よく「愛想がわるいね」といわれる。
・仕事が長続きしない。

当てはまりそうな人は一度、本書を読んでみましょう。

声がけで紹介される内容は、あいさつをしましょうとか、お礼を言いましょうとか、ごく当たり前のことばかりです。

ただ、僕も人付き合いがすごく苦手だったので(今はだいぶまし)、よくわかります。こんな簡単なことがと思われることがすごく難しいのです。ほんとにハードルが高い。

重要なのは、著者も主張するように、しゃべる準備をしておく、しゃべる練習をするだと思います。

コミュニケーションといえども、勉強で、訓練なのです。
どういう環境に生きてきたかによっても変わりますが、今うまくできてないんだったら、訓練あるのみです。

僕も最近、今意見を求められたらどう回答しようというのをすごく考えます。それは、予測というか準備というものです。考えを述べるというのは、コミュニケーションの一種だと思いますが、やっぱり、何も考えてない、準備していないのに、話始めるのは非常に難しいです。

同じく、声がけも一緒で、準備しておくのが重要なのです。

挨拶くらいならいうことは決まっていますが、天気の話をしようとか、相手に何か変化がないかなどを用意しておくと、話は弾みます。

普段通りに、気取らずに、面白い話をしなければならないと思わず、いつも心に謙虚さをもって、簡単な会話を楽しみましょう。

それは、最初はハードルが高いかもしれませんが、実は相手も声をかけられることを望んでいます。そう思って始めましょう。準備と勇気が肝心です。

いかん、なんか本の紹介していない。まあ、そんなに差はないからいいか・・・。



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2012年05月23日

ハイ・コンセプトを読んで

ハイ・コンセプト

著者:ダニエルピンク
訳者:大前研一




情報革命予測本の『情報の文明学』と『第三の波』を読む過程で、トフラーとかをネットで調べて出会った本が、この『ハイコンセプト』です。

ネットでは、大前さんが、情報化社会の次の第四の波がこの本が主張するコンセプチュアル社会であると語っていました。一応日本語版を第四の波にしようと友人でもあるトフラーさんに交渉したらしいですが、トフラーさん自身が第四の波を発表する可能性があるということでだめになったみたいです。

この本は、前回のブログでも書いた『第三の波』に比較するとかなり読みやすい本でした。はじめに大前さんが思考の補助線を張ってくれたことも要因の一つかもしれませんが、構成が簡単です。

著者の主張は、これからの時代は右脳が大事で、その右脳を生かした六つのセンスが求められるということです。

話は、著者が受けた脳の検査から始まり、右脳の役割を左脳の役割と対比させ説明した後で、なぜ右脳が必要になってきたのかで時代を振り返り、最後に6つのセンスについて一つ一つ丁寧に説明しています。

右脳と左脳をざっくり説明すると、左脳は「論理、連続姓、文字通りの解釈、分析」を担当し、右脳は「統合、感情の表現、文脈、全体の把握」を担当しています。ちなみに右脳を活用すべきといっても、左脳が不要なわけではありません本当にすごい人というのは、右脳からアイデアを出して、左脳で評価するといった具合に両方の脳をうまく勝つようしていく人です。

【右脳の必要性】
ここでの主張は、産業、情報の発達によって、反復姓があり、途上国にできること、コンピューターやロボットにできること、つまり左脳がやっていたような仕事をやっていたのではこの先、役に立たなくなる。より右脳を活用したような仕事の仕方をすべきだという点です。

少し話を戻して、第4の波、すなわち「コンセプチュアル社会」とは著者のダニエル・ピンク曰く、既成概念にとらわれずに新しい視点から物事をとらえ、新しい意味づけを与えていくという流れらしいです。

そしてコンセプチュアル社会を生き抜くために重要な6つのセンスが、デザイン、物語、調和、共感、遊び、生きがいだそうです。

それぞれの章で気に入った文章を紹介します。

■機能だけでなくデザイン
デザインとは、その本質だけを見れば、『ニーズを満たし、生活に意味を与えるために、先例のない新しいやり方で自分たちをとりまく環境を形作る人間の本性』と定義できる。

■議論よりは物語
理性的な能力は物語に依存している。物語は将来を見通し、予測し、計画を立て、説明するために最も大切な方法である。・・・私たちの経験や知識、思考の大部分は物語という形で構成されているのだ。

■個別よりも全体の調和
今後10年の内に、私たちは境界線を越えて、自分の専門分野とはまったく異なる世界へ踏み込んで考え、働かなければならなくなる。そして、ただ境界を越えるだけではなく、機会をしっかりと見極め、それぞれを結びつけるようにしなければならない。

■論理ではなく共感
共感とは、相手の状況に自分を置き換えて考えられる能力であり、その人の気持ちを直感的に感じ取れる能力である。また、誰かの立場に立ち、その人の視点で考え、その人が感じるように物事を感じる殊のできる能力でもある。これは、ほとんど無意識のうちに行っていることであり、よく考えた上での行動というよりは、本能的なものなのだ。

■まじめだけでなく遊び心
文脈中の状況を見極める力、全体像を見る力、異なる観点から新しい関係を作り上げる力などだ。そのため遊びにおけるユーモアのセンスが仕事の世界でも急速に価値を高めてきている。ユーモアは対立を和らげ、非難をそらせ、緊張を和らげ、モラルを向上し、伝えにくいメッセージを伝えるのに役立つ。

■モノよりも生きがい
人間のおもな関心ごととは、喜びを得ることでも、痛みを避けることでもなく、自らの人生の意義を見いだすことなのである。生きがいの追求は、すべての人の中にある活力源であり、外部の状況と内なる意志が組み合わさることで、表に出てくるのだ。

といった感じです。それぞれの項目の一端が見えるのではないかと思います。またそれぞれの章に著者自身の備忘録が収録されており、それぞれのセンスを伸す方法が書かれています。

全体を通して、第四の波を求めて読んだ本ですが、トフラーの第三の波と併せて読むと、第三の波の後半部分を書いているような感じでした。

トフラーが主張する時代の変化とは、ある技術が生まれ人々の過ごし方、その技術によってインフラが変わるとそこに住む人々の生活習慣や、考え方、ひいては、組織、政治が変わるというところです。

トフラーは第三の波の中でも、情報化が進むにつれて、ハイコンセプトでいう6つのセンス的なものが重要になってくると述べています。このハイコンセプトでは、その部分を増強したような感じです。
つまり、第4の波ではなく、第三の波の技術がもたらすインフラによって、変えられていく人間的な部分を深堀したものだと思います。

だから、僕のなかでは、ほんとの第四の波とは、例えば、減ることのない新エネルギーが開発されたなどの技術革新によって、人々はエネルギー効率姓を求めることをやめた。などの技術的変化によって巻き起こされる、さらに次の世界といったイメージです。

そういう世界の変化を見逃さずに、第四の波を見つけれるようになりたいですね。


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posted by air_water at 23:57 | 京都 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月22日

第三の波を読んで

第三の波

著者:アルビン・トフラー




以前から、岡田斗司夫さんのFREEや評価経済社会の講演音声を聞いた時に、第三の波の話が出てきていたので気になっていた本です。

今回、関西アウトプット勉強会の課題本が、梅棹忠夫さんの『情報の文明学』になり、その本の中にも同じく情報化社会を予言した本ということで、第三の波を読むことにしました。

岡田さんの講演音声で第三の波の概要はつかんでました。それは、「革命は技術によって起こる」「引き返せない楔」という考え方でした。

革命は技術によって起こるとは、アルビン・トフラーは波で表現していますが、第一の波、第二の波、第三の波と呼ばれる革命が技術によって起こるという話です。第一の波は農業革命、第二の波は産業革命、第三の波は情報革命です。

革命とは、技術革新が起こることによって、取り巻くインフラが変わり、人々の生活やものの考え方が変わるということです。
たとえば農業革命では、農耕の発達によって人々はある一定の土地に定住するようになり、組織が生まれ、戦争が生まれたというようなことです。
あるいは、産業の発達により、人々の仕事は分業化され、貨幣経済が発達し、家族は核家族化したというものです。

また引き返せない楔という考え方は、波を越えて新しい考え方に変わると、どうやってもリアリティをもって過去の生活や習慣のことを考えれなくなるというものです。

なるほど納得と思いながら聞いてたのですが、実際に第三の波を読んでみると、意外にも変化は技術だけで起こるものではないや楔も引き返せないではなく、見えない楔となっていてアルビン・トフラーの主張は、岡田さんの講演とは少しニュアンスが違ってました。まあ、1980年に書かれた本ですので、その後にトフラーの解釈が発表されたか、岡田さんの明察で少し変えられて解釈されたのかなくらいに思って読み進めました。

だいぶ文字数とページ数が多く、論旨を読みとるのが難しい本なのですが、大まかな流れを説明すると最初に農業革命を踏まえた第二の波である産業革命について説明がなされます。
共産主義も民主主義も主義は変われど、第二の波の論理で動いていたなどの洞察はすばらしいです。
第二の波の論理とは、6つの原則で表現されています。規格化、専門化、同時化、集中化、極大化、中央集権の6つです。なんとなく、産業革命の大量生産を思わせるキーワードです。それぞれ説明しだすと長くなるので割愛します。

トフラーの歴史を読むときの考え方は、技術でインフラが変わると人々は、組織は、政治はどう変わっていくのかという流れで展開されます。

同様に第三のなみの情報革命も展開されます。

はじめは、第三の波の兆候みたいな第二の波の考え方では理解しづらい社会現象を示し、情報革命の本質にせまり、その情報革命が発達すると人々の考え方は、組織は、政治はどう変わるのかと進めます。

情報革命によってもたらされる未来予測の例をあげると、在宅勤務、地方分権、企業の多目的化(利益だけではなく、あらゆるステークホルダーに配慮しなければいけなくなる)、共創(顧客とともに創造)などのがあります。

情報革命で重要なのは、情報がつながり、溢れ、蓄えられること。これによって、人々の考えは多様な情報に洗われ変わっていく。従って産業革命時のように、意見が統一されていくのとは逆にバラバラになっていく。多様な価値観が産まれる。そして心理体系、人格、組織、政治が変わっていく。

特に面白かったのは、政治の話。政治的決断や政府決定は無力化しているが、それは指導力の欠如ではないということ。じゃあ何が原因かというと、情報が溢れ、多様な価値観が生まれ、世界が複雑化し、決めることが増えすぎてしまったことによる。

かつてみたいに、少ない問題のそれぞれをゆっくりと時間をかけて、議論していくというような時間は無い。

つまり、一人のリーダーの資質の問題ではなく、情報革命がもたらした時代の変化に、政治制度がついていってないということである。そこでトフラーは、第三の波にあった政治制度を作らねばならないと示唆する。よく言えば、自民党でも民主党であれ、誰が首相になっても上手くはいかない。しかし、それはリーダーが悪いんじゃないよ。政治制度そのものを作り変える必要があるんだよ、ということ。

それは、地方分権化を推し進めることや『一般意思2.0』で東さんが語ったような情報システムで国民の声を抽出し、ベクトル的に足し合わせた一般意思に決めさせるというようなことが必要になるということだ。

全体的にみて、事例が多いからか、話があちこちにに飛んでるからか、論旨を追うのに大変苦労したが、楽しく読めた。もちろん、当時の洞察で当たっていないものもあるにはあるのですが、その幅広い知識の断片を集めて、一つの流れを読みとき、未来を予測する洞察力はすばらしいと思いました。

今我々が、第三の波を読む場合、それは既に起こった出来事で、当たっているなすごいなと思うことも読み方の一つではある。しかし、トフラーの未来予測の手法を学び、これからの未来を予測する一つのきっかけにするのがもっと重要なのではないかと思った。


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posted by air_water at 23:44 | 京都 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月19日

社長はなぜ、あなたを幹部にしないのか?を読んで

社長はなぜ、あなたを幹部にしないのか?

著者:小山昇




社長の考え方を学ぼうと、書店で探してて買った本ですが、社長ではなくどちらかと言えば、幹部向けの本でした。

よく見て買えよと、自分でも思いました。題名の最初に社長と出てたので・・・。

ただ、読んで見ると社長の考え方というのも書いてあり、社長からみて社員は、幹部はどうあるべきかという持論が語られています

社長にも、企業の大小やサラリーマンから昇進して社長になったのか、最初から社長だったのかなどいろいろあると思うので、本書の著者の略歴も紹介します。

東大経済学部を卒業後、ダスキン関係の会社に入り、一度退社後戻ってきて、数年を経て社長になられています。つまり、中小企業で昇進して社長になった方です。

著者は、社長の仕事は「決定すること」で、優秀な管理職とは、「社長の決定を即座に実行に移す人」と言い切ります。
続けて、社長の決定の欠点を見抜ける人がいい管理職ではない。社長が決めた方針をとにかく素早く実行する人こそが優秀なのだと言います。
さらに、社長の決定と意志が合わなければ会社を辞めればいいとまで言い切ります。徹底しています。


独裁者を思わせる口振りですが、ある意味納得できます。組織はまとまってないと力を発揮しません。みんながそれぞれの考えでバラバラにならず、まとまって一つの方向に進む方が成功の確率はあがるでしょう。

それに、著者は、社長の決定はすべてが成功するわけではなくて、間違いもある、いや間違いの方が多いと認めています。それでもなお、素早く実行して早く間違う方が効率がいいということです。

社長と価値観が合わずに、会社を辞めようと思う人には、一つ考えてくださいと言います。何を考えるのかというと、その会社の業績がいいのかどうかということです。業績が良ければ、もしかしたら自分が間違っているのかと考え直すことも重要だと言われます。


また、この本には、ランチェスター的な経営戦略のたて方や、効率的なビジネススキル、社員教育論なども盛り込まれております。

印象的なのは、「一般社員は新しいこと、難しいことに挑戦するのをいやがります。・・従って、一般社員を育てるには、新しいこと、難しいことを強制しなければなりません。」や「私の知る限り、殊に中小企業においては自発的に仕事に取り組む一般社員など存在しません。」などの言い方です。社員を信じてないというか、そういうものなんだと捕らえている感じです。
その上で、社員教育とはこうすべきだと展開していきます。

これで、業績をあげてらっしゃるのである意味、的を得ているのだろうと思います。

なんとなく、著者の考える社長像というものが分かります。他にも考え方はあると思いますので、別の事例(本)も見ていきたいなと思います。


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2012年05月16日

いまから、君が社長をしなさい。を読んで

いまから、君が社長をしなさい。

著者:鳥原隆志




ビジネス本のブログとして始めたのに、最近、本当にビジネス本をぜんぜん読んでない。ということで、今日は久々にビジネス本です。

これまで思考法とか、対人力をつける本など読んできましたが、この本は社長を目指すための本です。

社長って何してるんだろう?って以外と意識していない。内の会社には一人一人が社長になった気持ちでがんばるという精神があります。僕もなるほどという風に聞いていたのですが、まるで分かってなかったことに気づかされました。

経営感覚を持って仕事をしないといけないんだよね、くらいにしか考えてませんでしたが、そもそも社長の仕事って何をしているの?経営感覚って具体的に何っていうと、ぼんやりとしか想い描けません。これでは社長になった気持ちで働くことなんてとうてい無理です。

本書でも、社長になりなさいと進めるところで、社長になれるかどうかを決めるのは、社長の仕事が何であるか?どうあるべきか?などを知らないと分からないと言っています。

また、この本は、以前から読ませてもらっているインバスケット思考の本なのですが、今回は、内容が社長ということだからでしょうか?本の中で繰り広げられる討論が過激です。やや喧嘩腰で議論が交わされます。喧嘩腰だからといっていやな気分になるわけではなく、白熱する議論に引き込まれていきます。

本書を読んで、社長の仕事が分かったかというと、そこまで分かっていないが、きっかけはもらったという感じです。やっぱり、会社の社長です。仕事の種類も多岐に渡ります。風土を作るやしくみを作る、経営的な判断もあります。隅から隅まで専門的な知識を把握する必要はないのでしょうが、会計のところとか、ちょっとついていけないところもありました。

本の内容は、ざっくりいうと、リストラされた主人公が、ハローワークの社長募集の求人に応募して、他3名の応募者と試験を受けながら、経営について考えていくというものです。

あまり内容にはふれずに、会議の役割というところで、なるほどと思ったところを簡単に紹介します。普段これが会議の役割だ!とあまり意識していないのでなるほどと思いました。

■会議の役割
・参画意識
・動機付け
・問題解決
・調整
・教育
・評決


最後に、さすがは主人公というべきか、みんなとの議論の中で、何かをつかもうと学習する姿勢というものがすばらしく、仮装の話なのですが、お手本にするべき人だなと思いました。久しぶりにビジネス本を読んだのですが、単純なスキル収得ではなく、物語性もあり楽しく読むことができました。



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2012年05月07日

情報の文明学を読んで

情報の文明学

著者:梅棹忠夫




5月読書会の課題本です。1963年に現代の情報社会を予測する論文「情報産業論」を書いた後、その論文と論文をもとにした対談、その後の論文などをまとめた著作です。

今日の情報化社会を1960年代に予測しているところがすごいです!いやほんとにスゴイ。

著者の梅棹さんは、比喩表現というか、何かに例えるのがすごく上手くて分かりやすいです。難しい本かなと思って読んだけど読みやすかったです。

さて、主の論文はどういったものかというと、世界は農業時代、工業時代を経て、精神産業時代へ移っていくという文明史論です。

この時代の生物学的観点からの考察も面白いのだが、ややこしいので割愛。

そして精神産業時代というのが、情報産業のことで、情報を売買する時代になっていくというもの、また情報の価格決定には、これまでの工業時代の経済理論が通じず、情報の価格は、「お布施の理論」決まると説明する。

お布施の理論は、お坊さんの格と檀家の格で決まるもので、偉いお坊さんにはたくさん払い。格の高い檀家はプライドがあるから高く払うという。つまり、プライドとか評価で価格が決定するというもの

その後の論文「情報の考現学」での考察も面白い。「情報の情報」「スタイリスト」などの考察は、値段の付け方が難しい情報に対しての情報誌や書評を連想させ、無数にある情報を選別し提供してくれるスタイリストは、キュレーターを連想させる

考えるだけで、ここまで予測できるもんだなーと感心する。

さて、話は少し変わって、本書にはアルビン・トフラーの第3の波の話が出てくる。1980年に出版された書物で、今日の情報産業を言い当てた書物として大ヒットしている。そして、それと同じことが梅棹氏の1963年の情報産業論に書かれていたということで、梅棹氏のすごさを賞賛している。

昔、岡田斗司夫さんの評価経済社会の講演音声を聞いてる時に、トフラーの第3の波の話が出てきて、この本のすごいところは1950年代からこれを言っていたというとこと説明していた。

どっちが早かったのかなということが気になったので、少しネットを調べてみると、ウィキペディアには1950年代からトフラーさんはこういう話をしていたらしい。
ウィキペディア

まあ、どちらが早いかというのは置いておいても両氏とも素晴らしい人であることに変わりはない。

と、この第3の波を調べる過程で、第4の波の話もあった。それは、ダニエルピンクの『ハイ・コンセプト』、訳者の大前研一さんも第4の波題名にしたかったらしく、トフラーさんと交渉までしたらしいが駄目だったとのこと。あるいはデジタルサイネージが第4の波であったりする。

っで、もしや第5の波もあるのではとググッてみると、あり、第6の波や第7の波もあった。第6の波はどうやら本が出ているらしい。

第7の波あたりから、津波の話であったりしている。

っと、波の数を調べてるわけではないので止めにして・・・、この情報の文明学は古い本だけど、今の情報化社会を言い当てている素晴らしい本である。また次の時代を描いたとされる『ハイ・コンセプト』も読んでみたくなった。





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posted by air_water at 06:17 | 京都 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月04日

性格を変えるには? −雑感−

最近、性格を変えるにはどうしたら良いか?を考えている。
っで、考えている過程で、だいぶ難しいのだなってことは思っているのだが・・・。

性格を変えるには、性格とは何か?というところから入るのがいいのかなと思ったので、そこから・・・

性格とは、その人の言動、行動から垣間見えるその人の性質だと思う。
そしてその言動や行動はどこから産まれるのかというとその人の価値観から。行動を二つに分けると意識的行動と無意識的行動に分けられる。意識的行動は、自分の価値観に基づき意識的に行っているので、衝撃的なできごとが起こって価値観が瞬間的に変わったりすると変わる。しかし、重要なのはもう一つのほうである。
行動の9割は無意識で行われているとよく言われる。すなわち人が性格が変わったと認識するには、この行動の9割を占めている無意識の行動を変える必要がある。

この無意識の行動とは、習慣と言われるもので、習慣とはかつて意識して考え積み上げてきた行動方法の蓄積である。

これまでの蓄積であるが故に、簡単に変えるのは難しい。さらに習慣が恐ろしいところは、無意識化で行われているため、意識的に改善するのは難しいというところ。

じゃあ、この無意識で行われる習慣を変えるにはどうしたらいいのか?というと、まずは自分が、どういう行動をとっているのかをみえる化する必要がある。無意識を意識化して認知できるようにする必要がある。

そのために何をするかだけど、例えば、専属カメラマンに自分の行動を密着取材してもらって後で見返すとかできたらいいんだろうけど、普通の人はそうはいかない。やっぱり簡単なのは、行動の記録をつけることかなと思う。日報を詳細に書くとか、日記を書く、考えやアイデアをブログにする。そしてそれを見返してフィードバックしていく。こんなことをやっていると少しずつ変わっていくのかなと思う。

でも、無意識の行動は、日記なんかに書けないような気もするので、恋人とかお母さんが書いた日記を読んだりするほうがいいのかもしれないけどね・・・。


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2012年05月03日

絶望の国の幸福な若者たちを読んで

絶望の国の幸福な若者たち

著者:古市憲寿




若者論の本です。全体的には、若者論資料集といった感じで、若者論が生まれてからこれまでの全体像がつかめるようになっています。

取り上げるテーマは、幅広く、それぞれに著者の考えが述べられています。説明される各テーマそれぞれがつながり最終的な著者の結論に繋がっていくというタイプの本ではなかったため、少し読みごたえにはかけました。

p262に「本書も若者論を掲げながら、結局はこの国の姿の片鱗を描くものになってしまった。それはもう、若者は年齢に関係なくどこにでもいるし、若者の中の若者といえるような人々がいないからである。」と語ったように、片鱗を語ったものでありました。

若者が年齢に関係なくどこにでもいるって・・・。

著者は、一億総若者化時代という僕には理解しがたい言葉を使っています。変換すると一億総多種多様化時代と言った方が正しいかと思う。

若者の定義にもいろいろ触れられてますが、一番分かりやすいのが年齢による定義でしょう。その変遷が一様に区切れないのは、平均年齢が高くなっているからだけのような気がするけど、一億層若者って言ってしまったら何がなんだかわかんなくなっちゃうよ!

ということは置いといて

さて、最初の方からどんなことが書かれているかを説明すると、まずは若者論まとめ、昔から若者論はあって、今も昔も同じようなこと言っているね!という話と、若者論を若者に否定的な論(異質な他社論)、若者に肯定的な論(都合のいい協力者論、若者はお客様論)に分ける話がある。

異質な他社論の方は、著者も若者論は自分探しというように、若者と比較することで自分をより明確に意識しようという取り組みらしい。かつて若者だったが、年を取って変わってしまった自分を肯定するために、若者を批判する。

都合のいい協力者論は、戦争に言ってくれる兵士として活躍してもらうために持ち上げる。同様に、若者はお客様論は、若者を消費者としてとらえ、持ち上げるブームを作る。

最近の若者はどういった特徴があるかというと次の2つ、@微妙に内向的で何かやりたいとうずうずしている、A仲間が大事である。

@の方は、後のほうにもいろいろ考察があり、特に日本を応援している訳でもなくワールドカップに集まって応援する人々や、特に政治に興味があるわけでもなくデモ行動に参加する人々、3.11のボランティアに参加する人々、といったことを言っている。若者は刺激を、退屈から逃れることを求めているといった感じ。

第2章のデータを元にした若者論へのプチ批判は面白かった。次のような最近叫ばれる話にデータで反論している。
・最近の若者は内向きだ。(社会志向の人が増えている)
・最近の若者は政治離れしている。(今も昔も若者は政治離れしている)
・最近の若者は海外に行かなくなった。(留学率は横ばい)
・最近の若者はモノを買わなくなった。(消費傾向が変わってるだけ)
最後の方は、基本的に少子化の影響で若者人口が減っていることを考慮せずに、消費の絶対量の増減で捕らえたことによる間違いが含まれている。

最後に、この本の題名にもあがった最近の若者は絶望の国にいるにも関わらず幸福であるという考察は103ページあたりに書いてある。簡単にいうと、将来が不安だから、将来との比較で今は幸福だと思っているということ。
これに関しては、前々回くらいに「幸福度を測るアンケートの意味」というところでも触れました。

この本、読書会の課題本であったのだが、先に読んだ『一般意志2.0』と『暇と退屈の倫理学』の方が面白く読めた。僕が面白いと思うのは、どちらかというと、一つのことを深く追求していく本の方が好きなようだ。

読書会に参加して、その物足りなさの話をすると、社会学とは、調査したありのままをそのまま伝えるものなんだということを教えてくれた人がいた。その社会学者的なスタンスが分かったので、ちょっと納得した。
大阪弁で話を聞いたら本にも大阪弁で書くそうだ!面白い。


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posted by air_water at 10:14 | 京都 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする