その未来はどうなの?
著者:橋本治こないだ内田さんの講演を聴きました。その最後の質問で、一緒に革命を起こすなら誰ですか?という質問があり、その回答の中に、橋本治さんという名前がありました。
読書会の中でも、ちらっと出てきた名前で、自分は知らなかったので、これはちょっと知っておかなければ・・・、というか興味が出てきたので本買いました。
まあ、新しい方がいいだろうと思って出版されたばっかりの親書にすることにしました。横にある「独裁入門」ってのも買ったんだけど、それは今度まとめよう。
ということで、その未来はどうなの?という未来を考える本です。
著者は、未来を考えるけど分からない。でも自分が住んでいる世界だから、分からないでは済まないよね。
私は未来について分からないけど、全く分からないのかと言ったら、そんなこともない。
とりあえず、分かっている部分を起点として考えてみよう。どのように世界が複雑になって分からなくなっているのか?の、分からなくなり方くらいは言い表せるんではないかな?というスタンスで書かれています。
率直に言うと、かなり分かりませんでした。
著者が分からないと思っていることについて書き連ねているので分からなかった。著者の目指した「分からなくなり方」への言及も理解できてない。
読んだ感想としては、
「分からなくなり方」を伝えたかったというよりは、未来を考える場合のものの見方や考え方の一端を披露している感じでした。
「こういう考え方や見方もあるよ。」「こういうところも考えるべきだよ。」という未来を考えるための起点を与えてくれる本です。
本書は、9章に分かれており、
1章 テレビの未来はどうなの?
2章 ドラマの未来はどうなの?
3章 出版の未来はどうなの?
4章 シャッター商店街と結婚の未来はどうなの?
5章 男の未来と女の未来はどうなの?
6章 歴史の未来はどうなの?
7章 TPPの未来はどうなの?
8章 経済の未来はどうなの?
9章 民主主義の未来はどうなの?
と、こんな感じです。
1章の「テレビの未来」に関しては、本当に何が書かれているのか理解できませんでした。雑に要約すると、テレビは日本を大きく変えたが、どう変えたかが議論されることもなく、どう変わったかも分からないということでした・・・。
2章の「ドラマの未来」は、僕らの世代が考えつく、月9とかのドラマではありません。
橋本さんの考えるドラマは「どう生きていくかという指針のない世の中で、人の生きていく指針となったもの」というものらしいです。重たいです。講談、文学、大衆小説の描くドラマについて言及されています。
簡単に説明すると、ドラマの中での挫折の有無が問題です。文学には挫折がある。講談は痛快で挫折がない。大衆小説は、講談がルーツだが、ときの経過とともに挫折を獲得した。で最近のドラマについて生きる指針がないと説明されます。僕は、今のマンガとかでも、生き方の指針を学んだという人もいるんじゃないかと思うけどな、なんて思うけどなあと考えながら、橋本さんの論とかみ合わないなあと思いながら読んでましたが、橋本さんの求めるものとは、深い悩みを抱えたときに立ち返る拠り所となるようなドラマなんだろうなと推測した時点で次の章に行きました。
3章の「出版の未来」に関しては、特に本を読むユーザーとしてしか関わってないので、そんなに深く考えたことなかったです。すべてが電子書籍になったら電子書籍買うことになるんだろうなくらいに思ってました。
あらすじとしては、本がインターネットに取り込まれようとしている。これは、かつて、出版界のえらい人たちが、インターネットが普及する時代に活字離れが騒いで、敬遠の対象にしたことへの恨みから、復讐として、本をインターネットに取り込もうとしているという流れです。
そして、出版の未来を考える場合の課題は、その偉い人たちが、未だに偉そうにしているという状態だそうです。
4章の「シャッター商店街と結婚の未来」は、未来というよりも著者の願望が強く見えたところでした。結論だけ言うと商店街は無くならないで欲しい。抽象的に言うと、
最近敬遠されがちになった人と人とのつながりを取り戻そうよという願望です。
9章まであるので全部紹介してたらすっごく疲れるので、後は、面白いなと思った章を軽く紹介しておきます。
6章は「歴史の未来」です。歴史って過去のことだけど、その未来を考えています。つまり歴史観の話です。
歴史観を再編したほうがいいよと主張されてます。歴史観をどう再編したいのかというと明言はされてませんが、
これまでの歴史は、中央集権国家成立を目指しているという形で描かれていたが、今は地方分権へ移行しようとしている。だから歴史も天下統一してバラ色という単純な話しではなくて、天下統一の前の状態も考えるべきじゃないかといった話です。
7章は「TPPの未来」です。しかし話はTPPがどうなるべきだということではなく、
TPPを例として議論の仕方について異議を唱えている感じです。TPPは賛成、反対という二者択一の単純なものじゃなく
メリット、デメリットを見える化して、どっちの方がいいかなと吟味して決めないとだめだよとか
リスクヘッジも考えとかなきゃいけないよといった内容でした。
8章は「経済の未来」です。ゼロベースで考えようという主張だと思いました。
日本は世界経済戦争に負けたんだと認めよう。そして原発はもう使わない方がいいと認めよう。そこを出発点として再スタートしよう。日本は敗戦後から立ち上がることができた民族ではないか!といった主張です。
9章は「民主主義の未来」です。民主主義が究極の政治形態だとおっしゃられています。日本には独裁者は出てこないと主張されています。国のリーダーが国民を弾圧する独裁者になってはいけないという考え方が定着したからだそうです。ただし民主主義はズルをするから、
国民一人ひとりが独裁者的な振る舞いをするといいます。ズルというのは、話し合いの時のズルで自分が得をするような方向に話を持って行ってしまうというズルです。これは、ディベートなんかで議論のレッスンするから問題なんだと言われています。ディベートとは仮想的に時には自分の主張と違う主張を担って論を戦わせます。自分が信じてもいないことを論拠にして相手を打ち負かしてなんになるんだという主張です。
結論としては、そういう
ひとりひとりが権利主張をするような世の中じゃうまくいかない。我々が考えるべきは、「自分の言うことは、みんなのためになることなんだろうか?」というみんなのためを考えることだ!なんだかんだと飛ばしたのは5章だけになってしまった。全体として、なかなか読み砕けなかったが、9章の最後の結論「みんなのためを考えよう」には、かなり納得した。
ただし、橋本治さんとはどういう人なのかを知るという目的は達成できてないような気がするので、他の本も読んでみようと思う。
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posted by air_water at 00:07
| 京都 ☀
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