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2013年04月30日

『文鳥・夢十夜』を読んで

『文鳥・夢十夜』

著者:夏目漱石




こないだの読書会の課題本でした。文学はあまり読まないので、頑張って読みました。というのも中々難解だったから、頑張らなければならなかったのです。

この新潮文庫の『文鳥・夢十夜』には、他に、『永日小品』、『思い出す事など』、『ケーベル先生』、『変な音』、『手紙』が入っています。

僕は最初に、『夢十夜』を読み、あまりの分からなさに理解するのを妥協し、その他、短いのから順々に読み進めました。
『夢十夜』『文鳥』『変な音』『ケーベル先生』『手紙』『永日小品』『思い出す事など』という順番です。


文鳥、変な音、ケーベル先生、手紙あたりはまあ、書いてあることは何がしか理解できるが面白みは感じずといった具合で、『永日小品』は、読み進めるのが最高に辛くて、電車の中で睡魔に幾度となく教われました。中々終わらん・・・。
果たして、『思い出す事など』に行き着くと面白くて一気に読んでしまいました。

読書会自体は終始『夢十夜』で終わったのですが、皆の読み方に驚きです。
いろんな読み方ができるものだということ、きれいな文章に浸るという楽しみかたもあるのだと感じた。

方や、全然面白くないと思う、私の方の部類に入る人も多く居て、それが対照的で面白かった。

僕の感想は

『夢十夜』は、よく分からない、文章の美しさを楽しむものなのだろうか?といったもので、

『文鳥』『変な音』『ケーベル先生』『手紙』は、「でっ」「だからっ」と突っ込みたくなるように、何かありそうで何もない。いや読める人には何かあったかもしれないが僕にはこれっぽちも見えないという消化不良感が残っただけでした。

次に読んだ『永日小品』に至っては、「わからん」「長い」「早く終わってくれ〜」という感じでだいぶ辛かったです。小品なだけに、ころころ話が変わって中々話の中に入っていけず、入れても意味不明、辛いよ〜、だれか助けて〜、課題本だから読み終えなくちゃ・・・、といった感じでした。

でも、最後に読んだ『思い出す事など』はすごく面白く、やっと理解できて、良い文章に出会えたなと思った。漱石が病に倒れてからの日々を綴った作品で、全般的に面白いのだが、最も良かったのは、漱石が吐血して30分間意識を失う場面、意識を失って息を吹き返した時の自分の感覚を、それを見ていた人の話から補完して、あるいはドストエフスキーが癲癇にかかった時の状況などと比較して綴っている場面が、分析的で客観的で良かった。人間が生きている、意識を持っている、世界を認識できているのは何故か?という興味を持っているところだからかも知れないが、不謹慎ながらワクワクして読んだ。

しかし、驚くべきことに、読書会で『夢十夜』を絶賛する人は、この『思い出す事など』が一番駄目だったらしい。「面白くない」、「胃が痛くなる」などの感想があった。漱石に感情移入しているからだろうか、だんだん弱くなる生命力が自分のことのように思えるからだろうか?

そのギャップから僕の興味は次の2点になった。
・こんなにも違う感覚というのはどうやってできたのだろうか?
・『夢十夜』を絶賛できるようになりたい。


確かに僕は文学あまり読んだことないので、『夢十夜』も読めないのだろうと思ってた。
でもこないだ友人に進められた太宰治の『人間失格』は大分共感できて面白かったし、理解もできたと思う。主人公の内面をずっと追いかけて読んでた所を、最後、スタンド・バーのマダムの「私たちの知っている葉ちゃんは、とても素直で、よく気がきいて、あれでお酒さえ飲まなければ、いいえ、飲んでも、・・・神様みたいないい子でした」の一言でガラッと客観的な視点を与える所なんかも良かった。人間の表面と内面のギャップを見せ付けられ、恐ろしいような、共感できるような、なんだか胸が苦しくなるような感覚を味わった。

恐らく、文学にも僕に理解ができるような理性系の文学と、なかなか分からない感覚系の文学があるのだと思う。

感覚系の文学はまさしく『夢十夜』で、僕からしてみれば一体何を言っているのだという類のものだが、感覚系の文学が読める人には、その文章が映像化され、耽美な美しさに酔いしれることができるのだろう。「考えるな、感じろ!」という世界だ!・・・と思う。

ただ、僕の理想とする人間像は「直感的に閃いて、理論的に展開できる人」だから、この感覚系の文学は前者の直感に深く関わっているような感じを受け、この『夢十夜』で感動できる能力が今は欲しくてしょうがない。
これまで直感的に閃く能力というのがまったくないと思ったことはなかったのだが、読書会での僕と対照的な人たちが感じる能力というのは凄まじく、理解ができなかった。でもそれが現実に何人も居た。不思議であり、かつ、その事実を受け入れなければならなかった。

読書会の二次会で思い出したのだが、僕は子供の頃から風景を見て、「綺麗とか、すごい」ということがほとんどなかった。だから友達と色んなものを見に行っても感動することはなかった。「すごいね」と共感する振りはできた。もしかしたら、この辺りの事情と関わっているのではないかと思った。

不思議なもので、こうやって共感する振りを続けると、本当に感動するものも表れるもので、三十三間堂の立ち並ぶ像に感動したことがある。何に感動したのかは旨く言い表わせないが、感動したこと自体が感動で、恐らく初めて「おおっ、俺感動している。」と思った記憶がある。この感覚を忘れないようにしようとたまに三十三間堂には行くようにしている。

なんとなくだけど、いろいろな風景をたくさん見ることで自分にも感動できるものがあることに気づくのではないかと思っている。
たぶん昔は、風景に興味がなかったから、見ているようで見ていなかったのではないかと思う。でも良く見ると、そこには感動する要素がたくさんあるのだと思う。
今更ながら思うが、三十三間堂は、そういう意味では分かりやすい。千体も精巧に作られた像がならんでるんだもん・・・。

風景と同じやり方で、感覚系の文学(この分類が正しいかどうか分からんが・・)に触れる機会を増やしてゆけば、その楽しみ方が分かってくるような気がする。

読書会の時、友人が、「これは、教えてもらって分かるものではないことだと思う。」と言ったのは、まったくその通りのように思える。

と、いろいろ考えていると、この二つの文章が書ける漱石は僕の理想像なのではないかと思えてきました。『夢十夜』と『思い出す事など』の二つを書けるのですから。


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posted by air_water at 16:33 | 京都 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月22日

『知性について』を読んで

『知性について』

著者:ショウペンハウエル




『読書について』に引き続き読みました。しかし、『読書について』よりもかなり理解するのが難しい。このギャップはなんだろう・・・。文章は分かりやすく書かなければならないと、『読書について』で言ってたのに・・・、分かりづらいじゃないか!!と愚痴を言いたくなるけど、がんばってなんとか読み終わった。180ページくらいしかないんだけど・・・、かなりの時間を要した。

5章に分かれてて、
@哲学とその方法について
A論理学と弁証法の余論
B知性について
C物自体と現象との対立についての23の考察
D汎神論について
となってます。

@は哲学の正しいやり方が書いてあります。
まず哲学者はすべてを普遍的に把握しようと努めなければなりません。
また哲学者は、心に加わるいかなる問いをも率直に問い直す勇気を持たなければなりません
さらに、自明の理と思われるすべてのことを、改めてはっきりと意識しそれを問題とつかみ直さなければなりません

これらを念頭に置いて、事物の客観的な把握から発して、首尾一貫して論を展開し世界を築いていきます
こうすることが重要だし、またこれによって自ら発見したことには大きな価値があります。例えそれが、さらに大きな視点で捉えると物事の一側面しか見ていなかったとしてもです。

Aでは証明の方法が書かれています。
まず、証明とは、すでに確定された確かな第一命題から、もう一つの同様に確かな命題をー第二の前提としてー援用しつつ、主張命題を論理的に導き出すことです。
この場合の第一命題とは、学問の根本真理のようなものです。

その後、討論方法を説明しています。
討論の道筋をいくとおりかに分けて説明しています。

最後の方では討論における卑怯な手段も紹介しています。
たとえば「拡張解釈」論敵の主張を限度以上に押し広げ、拡張したテーゼに反論する・・・。
他にも「方向転換」論破されそうになると、論点変更によって議論を別の対象にそらせ、敗北を防ごうとするものです。これはもっとも愛用されているようです。
こういうやり方をしないようにしましょう!というか、こういうやり方で討論を行っている人たちを非難している感じです。

Bの知性については、知性が何であって、その知性をどう使うべきかということが書いてあります。あんまり理解できてない気がしますが・・・。

知性は感受性というもので、物ではりません。根源的な物(物自体)に従属するものです。(本文中には意志に従属すると書いてあります。意志と物自体は同列に位置するもののような気がします。意志を本能と置き換えるとうまく理解できてそうな気もしました・・・?)この感受性としての知性を高める為には、新しい思想や思索にふれる必要があり、これらを理解し、あるいは紬だし、知性の認識の幅を広げ、世界を鮮明に捉えることが重要です。
そして、知性には根源的な物(物自体)を認識する能力はなく、表面しか捉えることができないので、認識可能な範囲で、世界を根底から理解するという態度が正しい態度だと主張します。

我ながら何言っているのか分からないですね・・・。

人間には感受性のような認識装置が備わっていますから、世界を認識することができます。しかし、それはその人の世界であって、他の人の認識する世界とは異なっていそうです。
従って、それぞれの認識を出し合って平均したものが、根源的なもの(物自体)に一番近かろうという気がします。
しかし、それは根源的な(物自体)ではない。誰もが自分の感受性を使って見ているのは根源的な物(物自体)の表面だけだからです。
だから物自体を完全に認識することはできないということだと思います。


ただ、その中でも、その感受性を極限まで高め、認識力を充実させることは重要で、その極限まで高まった認識力を持つ人を天才と言います。それは生まれつきなのかどうかは良く分かれません。


最後のC、Dは、特にDは本論とだいぶ関係ないような気がしたので割愛します。
Cで重要なのは、最後の「協同作業をすると哲学も他の学問も進歩するのではないか?」との問いかけです。たとえば優秀な哲学者100人が集まって、それぞれが認識するところの世界を言葉等を通じて共有し合えばより、真理(物自体)に近づくことができるのではないかということだと思います。それは物自体と同一Aはならないのですが、随分近づいていくのではないかと思えます。

薄い本だけど、二週間もずっと楽しめました!!

昔は、本をたくさん読むことにこだわってたところもあったけど、同じ本を繰り返し読んで、書き込みしたり、ノートにまとめて見返したりとするのも結構楽しいですね。


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posted by air_water at 23:29 | 京都 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 哲学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月17日

ブログの更新頻度

ブログの更新頻度、だいぶ頻度が低くなってきた。ブログを始めて、一月に五回以上という更新目標を掲げたが、最近その底辺をいくようになった。というのも資格試験などに挑戦するということがあったからだ。しかもそのせいもあって自分でいうのも何だが、ブログの内容も雑になってきた。

この間、会社の後輩から次のような話を聞いた。
選択の問題である。あるスポーツ選手がスポーツをとるか医学を取るかで悩んだ末にスポーツを取り成功しているということである。
何かを行うために何かを捨てている。
その話から後輩も、スポーツをすて勉学に励もうとしている。

私も、もう少し能力があればいいのだが、他のことに集中するとブログの更新が億劫になる。しかし立てた目標を破るのが悔しいのでギリギリ5回を連打している。

だが、後輩の話を聞くと、そろそろ決断した方が良いなと感じた。

もちろんブログを書くという効能はすばらしいものがあった。読書ブログという性質上、本を読まなければならない。怠惰なために普段から本を読み続けてた人ではなかったが、本を読む習慣ができた。また、本になにが書いてあるのか、著者の主張したいことは何かと目的意識を持って読むことができた。それは人生に必要な何かを手に入れるというよりも、純粋に著者が何をいいたいのか?を追いかけていただけなのだが、振り返ってみると為になったと思う。また文章の書き方も学んだと思える。大概いい加減ではあるが、下手な文章も書き続けるとそれなりに上達するもので、会社の技術レポートなどは、過去のものと最近のものを見比べても格段にレベルアップしていた。

これらの効能はあるけれども、このブログを書いているせいで犠牲にしてきたものもある。

また他方で、読む本も少しずつ変化している。最初はライトなビジネス本を読んで紹介してきたが、最近は哲学や社会学や小説の方が面白いと感じるようになった。これは社会人として人生において役に立つのだが、ブログの表題に似つかわしくないなと思っている。

ここは一つブログ以外のやりたいことに重きを置いて、ブログの更新頻度は下げることにする。閉鎖ではない。書きたい時に書く場所というのは有ったほうが良い。

とりあえず、これからも仕事と趣味といっそう頑張ろう!



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posted by air_water at 23:14 | 京都 ☀ | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記etc | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月09日

ビラ配りについて

通勤途上の駅でビラを配る集団がいた。交通安全に関するビラ配りである。その中でビラを配っている一人のおばさんが、「ここの人等は全員無視や!」と不満を漏らしていた。

そんな大きな声でよく言うなと思うと同時に、その瞬間からこの人たちが嫌な集団に変わった

なんだか、運転する車に故意にぶつかって示談金を要求するような当たり屋に遭遇した気分だ。

何で普通に通勤しているだけなのに、不快な気分にさせられるのだろう。僕の心は会社に着くまで、その事象に捕らわれてしまい、なんだか時間がもったいない気分にもなった。

確かに、僕も労働組合関係で、ボランティア的な、あるいは政治的なビラ配りを何度もしたことがあり、誰も関心を持ってくれないことを知っている。「よろしくお願いします。」と元気良く配っても、ほとんどの人が目も合わせてくれず、だんだん心が折れそうになるのも知っている。
だからこそ、ビラはなるべく取ってあげようと思っていたのだが、その言葉で取る気がなくなってしまった。

そういう不満がよぎったとしてもそれを口に出してはだめだよ。しかも、あんな大きな声で・・・。

いつものようにただ普通に通勤している人たちを不快にさせるようでは、交通安全を守るという大義があっても、それは慈善活動ではなく、迷惑行為だよ。

僕はビラ配りやティッシュ配りは、みんなに無視されても、心が折れそうになるのに耐え、最後まで笑顔で配り続けることができるのかという一種の修行くらいに捉えてやってた。

それくらいの気持ちで心にゆとりを持って、ビラを配った方が得るものがあると思う。

っと、これは昨日の話なのだが、一日経って、今朝は別の人たちがティッシュ配りをしてた、テニススクール勧誘のティッシュだから、交通安全啓蒙と違って、やる気が違うのか、あるいは昨日のことがあったからコントラスト効果が働いてたのか、すごくハキハキしてて、すがすがしいティッシュ配りに見えて、思わず笑顔で受け取ってしまった。

ちっちゃなことではあるが、昨日とは違って、明るい気持ちで仕事を開始できた。


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posted by air_water at 23:37 | 京都 ☀ | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記etc | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月08日

『読書について』を読んで

『読書について』

著者:ショウペンハウエル




読書会の始まる前に教えてもらったショウペンハウエルの読書についてです。こんな本読んでると、なんだかかっこいいですね。

その紹介の仕方は、「読書に対する考え方が変わるよ」でした。

どういう風に読書すべきかが書いてあるのだろうと思って読み進めてました。

第1章は「思索」というタイトルで、思想家とはかくあるべきと主張されます。常に考えろ!と言ってます。特に読書に関しては、「考えたくなければ読書すればよい」といい、いかに読書が思索の邪魔をするのかということも書いてあります。つまり読書は他人の考えを追うに過ぎず、書物から読みとった他人の思想は、他人の食べ残し、他人の脱ぎ捨てた古着であり、思索の代用品に過ぎないと説明します。

そして、自分の思索で獲得した真理であれば、その価値は書中の真理に百倍も勝ると続けます。

第1章はこんな感じなのですが、読み始めてすぐに感じたのが、なんと明瞭簡潔な文章を書く人なのだろうか、ということでした。簡単にいうと分かりやすい。

それもそのはずで、第2章の「著作と文体」では、無駄に文章を長くしてはならない、簡潔に書かなければならないと説明してます。第1章を読んでる僕は言うだけのことがあることを知っているので、改めて感心しました。

さらに、駄文が氾濫するのは良書に出会う確率が減るし、時間を浪費することになる害悪である、とまで言ってます。

思索が少ない未熟者は、未熟者らしく、少ない思想をいたずらに膨らませることなく、自分の考えを明瞭簡潔に書くのがよいと説明します。

このブログで駄文を氾濫させている自分としては、恐縮させられることばかりでした。

また、量は少ないですが、会社でも特許やレポートを書いているものとしても反省させられます。

特許を書くときですが、分量が少ないとなんかまずいような、体裁が整ってないような気がして、文章を長くすることを考えたりしてました。

しかし、いたずらに文章を長くすると、ただ単に言いたいことが薄まっていくだけの効果しかなく、その読みづらくなった文章は特許チームの人の時間を無駄に浪費させることにもつながります。特許公開した後に、これを見る人の時間を奪うことにもなります。これは日本の産業競争力を低下させることにもなります。(そこまで考えなくてもいいかな?)

この本を読んでしまったからには、アイデアや考えが少ないことを隠すために、いたずらに文章を長くすることはやめて、アイデアや考えの少なさは反省しつつ、正直に明瞭簡潔な文章を書かなければと思います。

明瞭簡潔な文章を書いて、いたずらに文章を長くしていた努力の時間を、新たなアイデア創出の時間に回した方が、より生産的です。

明瞭簡潔な文章を書けるようになるという課題もあります。
技術開発に於いて、文章の簡潔さというのはどこからくるのかと考えると、この本で言っているような、哲学的な思想や思索と大差はないと思えます。つまり、哲学と同じように、どれだけ考え抜かれた技術であるかどれだけトドメの検証がなされているかにかかっているのだと思います。

やはり技術的な思索に時間をかけることを心がけねばなりません。だめ押しの検証もきっちりやらないと、その文章に力強さはでません。いわゆるわかりづらい文章になってしまいます。この辺りを考えながら計画を立てないといけないですね。

さて、話は本書に戻って、第2章の「著作と文体」では、文法の大事さも教えてくれます。簡潔な文章を書くには、明快な思索に加え、正しい文法で正確に意味を伝える必要があるということです。
悪い例としては、略語を使うこと、文章を省略することなどが挙げてあります。省略すると文章自体は短くなるのですが、重要なところを略しては逆にわかりづらい文章になるということです。

簡潔な文章を書くためには、十分な思索の上、頭を明瞭・簡潔にしておくことが肝要で、文法をいじって文章を短めても意味がないということです。

句読点の打ち方など、誤りの多い文章はだめなのです。胸が痛い。ちょっと句読点の打ち方はこのブログ書いた後で、見直そう・・・。

最後、第3章の「読書について」です。やっと本題のような気がしますが、実はこの章がもっとも短いです。訳者はすばらしく、なるほど、すべてが有機的につながっています。

読書で重要なことは、すでに大部分が述べられています。「つまり自分の思想というものを所有したくなければ、そのもっとも安全確実な道は暇を見つけしだい、ただちに本を手にすることである。」と説明される通り、読書は思索の妨げになるのです。

しかし、「説得力」「豊かな形容の才」「比較の才」「大胆奔放、辛辣、簡潔、優雅、軽快に表現する才」「機知、対照の妙をつく手腕」「素朴k純真」などの才能を所有していると、読書から得るものもあります。
著者は、上記のような才能(その可能性でもよい)を持っているものが、読書をすると

読書によって、それを呼び覚まし、明白に意識することができるし、そのあらゆる取り扱い方をみることができる。
読書によって、このような才能を所有したいという気持ちばかりでなく、勇気も強めることができる。
あるいはその使用の効果を具体的な例に照らして判断し、その正しい使用法を習得することができる

としています。

著者は生まれながらの才と説明します。そうは思いたくないですが・・・。

また、読む本は、良書を読むべきで、良書の場合は2回読むべきだと言います。どうやら古典を読むべきだと感じました。

とりあえずは、ショウペンハウエルの本を何冊か読んでみたいですね。
※ちなみにショウペンハウエルが、へーゲル大嫌いということは良くわかった。


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posted by air_water at 22:25 | 京都 | Comment(0) | TrackBack(1) | 読書術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月05日

零戦 その誕生と栄光の記録 を読んで

零戦 その誕生と栄光の記録

著者:堀越二郎




また、大東亜戦争関連の本です。こないだ『永遠の0』読んで、すっごく面白くて、先輩に勧めたら、この本を買ってしまったみたいでした。ただし、この本もすごく面白いということで貸してもらいました。ちなみに、代わりに先輩には『永遠の0』を貸しました。
先輩はすぐに読み終わって返してもらったのですが、僕は読み終えるのに時間がかかって、しかもメモをまとめときたかったので、だいぶ長い間借りてます・・・。

『永遠の0』も面白かったのですが、一応理系な僕は、こちらの方が面白かったです。

この本は、零戦開発の話で、開発された本人が書いてます。

大東亜戦争関連のどの本読んでも、零戦に対しては賞賛の嵐です。いったいどのように零戦が開発されたのかは、もともとすごく興味がありましたが、やっぱりすごい開発でした。

飛行機設計では当時遅れていた日本が、零戦開発によって一気に世界のトップに躍り出るという話で、それまでの常識を覆す新しい発想の技術が多く盛り込まれています。

日本海軍の妥協することないハイレベルな要求も、その開発の後押しをしたのだと思います。

一例を挙げると安全率の見直しです。当時安全率は1.8倍が常識だった中、その安全率を論理的に引き下げていくやり方は、さすが一級の技術者という感じでした。

日本海軍の厳しい要求から重量を軽くすることを迫られた堀越さんは、種々検討する過程で、部材の強度試験に立ち会った経験から、部材の破壊され方の違いに着想を得、材料軽減の方策を練ります。

つまり細い材料は弾性変形領域が大きく、太い材料は弾性変形領域が小さいということです。従って、細い材料は安全率を低く設定しても弾性変形領域を越えず、十分な安全性を保てるということです。
戦後、この安全率は堀越さんの論理に従い、改定されることになるのですが、当時の世界中に通用している厳然たる規定に立ち向かうのはまさしく挑戦だったでしょう。

その他にも人間工学的な観点から改良した操縦性の開発など目を見張る着想からの緻密な検証といったものがありましたが、長くなるので開発事例はこの辺りで終わります。

また開発する過程でテストパイロットの話も出てきます。そのパイロットは試作機のテストをするのですが、開発段階の飛行機に乗るなんて考えただけでも恐ろしい話です。
基本パイロットは、パラシュートを身につけ、危険な時は素早く飛行機から離れパラシュートで落下することになっています。

それでも、不慮の事故というのは起こるもので、零戦の開発の中でも二人の命が亡くなっています。
しかし、その命は決して無駄にされることはなく、事故原因の分析が徹底的に行われます。

ここで活躍されたのは松平技師で、不眠不休で、先入観を入れることなく、鋭いカンと、理論と簡略な模型実験によって一見大胆ともいえる結論に到達します。その結論から改善がなされ、さらに優秀な飛行機へと変化を遂げていきます。

零戦が完成すると、少しずつ戦績を挙げ、世界最高の名を手に入れます。情報統制もあり、当時、日本人でその優秀さを知る人は少なかったみたいです。

最後には、物量に勝るアメリカの新兵器開発によって零戦も影が薄くなっていくのですが、開発された当初の圧倒的な能力差は、すごく、日本人として誇らしかったです。

この本から学べるのは、常識の打ち破り方考えつくす忍耐考えた論理を検証していく緻密さ妥協しない不良原因の追求などたくさんあります。
自分の開発にも活かしたいと思います。


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posted by air_water at 23:35 | 京都 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 国家、日本人 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月04日

『影響力の武器』を読んで2

『影響力の武器』

著者:ロバート・B・チャルディーニ



前回まとめようと宣言してしまった影響力の武器の6つの法則です。

@返報性
■基本的項目
・他人から何らかの恩恵を受けたら、お返しをしなければならないと感じる。
・自分に対して譲歩してくれた場合、こちらも譲歩しなければと感じる。
・知覚のコントラスト(1番目と2番目の差異を過大評価)も加わると強力
・やっかいなことに恩義の感性は負担になる。
譲歩させたという責任まで生じてしまう。逆に満足感もある。
・犠牲者は要請者の言うことはもう承諾しないぞと思われる可能性もあり、使いかは注意が必要。

■防衛法
・最初の好意や譲歩は受け入れ、後でトリックと分かった時点で、それをトリックと再定義できるようにしておくこと。


Aコミットメントと一貫性
■基本的事項
・一度決定を下したり、ある立場をとると、そのコミットメントと一貫した行動を取るように個人的にも、対人的にも圧力がかかる。
 ※一貫性、論理性、合理性、安定性、誠実さの核心をなすものだから
一貫性は、ものごとを深く考えなくていい待避場所でもある
・あいさつ、応えやすい質問など気軽にコミットさせるのも効果あり
・一度コミットすると、もっと協力的になる性質がある。
・行動を含み、公衆の目にさらすとさらに強力になる。

■防衛法
・胃から送られるサイン、心の奥底から送られるサインに注目する。
・今知っていることは、そのままにして時間をおいて、同じコミットメントをするかどうかを考える。


B社会的証明
■基本的事項
・他人が何を正しいと考えているかに基づいて物事が正しいかどうかを判断してしまう。
・どんな考えでも、それを正しいと思う人が多いほど正しいと見なす。
・どう振る舞えば良いのか確信がもてない時、他人の行動を参考にする。
・他者が自分と似ている場合特に強くなる。

■防衛法
・類似した他者が行っている明らかに偽りの証拠に対して敏感であること
・類似した他者の行動だけで決定を下さないと肝に銘じること


C好意
■基本的事項
・自分が好意を持っている知人から何か頼まれるとほとんどの場合イエスと言ってしまう。
・友情の魅力、暖かさ、安心感、義務が行動をコントロールする。
・外見の良い人は他者とのつきあいですごく有利になる。
・私たちは自分に似ている人を好む。
・好きという情報はお返しとしての好意と自発的な承諾を生み出す。
・よく知っているもの(接触回数が多い)に対して好意を抱く。
・悪い出来事でも、良い出来事でも結びつけられ感情に影響を及ぼす

■防衛法
・不当な好意を生じさせる事象ではなく、不当な好意が生み出されたという事実に目を向ける。
・好意を感じすぎないよう注意し、メリットだけを考えて判断を下す。


D権威
■基本的事項
人は権威者の命令にはとにかく従おうとする。(自分の意に反して)
・権威者に対する服従は短絡的な意志決定であり、思考が伴わず楽
権威の実体ではなくシンボル(肩書き、服装、装飾品)に反応してしまう傾向がある

■防衛法
・どのような解きに権威の命令に従うべきで、どのような時に従うべきでないかを緊張や警戒しすぎることなしに、判断できるようにしておく。
・権威の証拠に目を向ける。(この権威者は本当に専門家なのだろうか?)


E希少性
■基本的事項
・人は、機会を失いかけると、その機会をより価値あるモノとみなす。
・希少性は商品の価値だけでなく、情報の評価され方にも適用される
・すでに制限されているものよりも、新たに制限されたものの方が価値が高いと感じる。
・他人と競い合っている時に希少性の高いものに最も引きつけられる。

■防衛法
・興奮そのものを重要な手がかりとする
・その品から自分が欲しているものはいったい何かを考える。
 ※利用するのが目的で、所有するのが目的ではない。

やや、疲れた。
読書会では、遭遇した事例とか心がけている防衛方法とかいろいろと話を聞けて勉強になった。やっぱり名著と言われる本は納得感があるな。


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posted by air_water at 23:49 | 京都 | Comment(0) | TrackBack(0) | 心理学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月03日

『影響力の武器』を読んで

『影響力の武器』

著者:ロバート・B・チャルディーニ




こないだの読書の課題本です。最近読書会の直前に課題本を読み終えることが多くまとめるのが後手後手です・・・。

絶対、読書会前に、まとめた方が読書会を楽しめるよな。

本の内容が分かってて(自分なりに)、自分が主張したいことがまとまってたら、皆の話を聞くことに集中できてより楽しくなる。

次回の読書会こそは、そうありたい。文学になるらしいが・・・。

本書は心理学の本です。500ページ近くあって、いろんな人がいいよと進める名著です。

詐欺ではない、詐欺的なギリギリの手法のやり方が分かる本(?)・・・、ではなくて、その詐欺から身を守る本ですね。ハッキングから身を守る本と題して、ハッキングの手法を教えているような感じに取られかねない本です。
その使い方は、読み手の自由。だけど、できれば悪用はしたくないですね。

さて、中身です。

最初に、承諾誘導の実践家が相手からイエスを引き出すために使う戦術は何千とあるが、その多くが、6つの基本的のカテゴリーに分類できるといいます。

@返報性:何かしてもらうとお返ししなきゃと思ってしまう。
A一貫性:一度いったら、曲げたくなくなる。
B社会的証明:皆がやってたら正しいと思う。
C好意:好意を持っている人から頼まれると断れない。
D権威:地位の高い人の命令には従ってしまう。
E希少性:貴重なものは価値があると感じる。


これら6つの法則に従って、条件反射的に行動してしまいがちみたいです。それぞれをまとめはじめると大変時間がかかるので次の機会にしよう。

この条件反射を、本書では「カチッ、サー」とか「簡便反応」とか読んだりしているが、通常、この反応は役立つものである。この自動反応に従って行動すると基本的には間違いは少なく、なにより考えるという貴重な時間や労力を割くことができる。

ただし、この自動反応を悪用した商法に遭遇すると痛い目をみる。だから、この自動反応に陥りやすいという性質を理解しといて、防衛する心構えを持っておく必要がある。6つそれぞれの章で防衛方法が説明されているが、詳しくは次回。

っで、この簡便反応、一般的にはどんな時に起きやすいかというと、
・状況を完全に分析しようとする気がない時
・時間やエネルギーがない時
・認知的資源がない時
・急いでいる時
・ストレスを感じている時
・確信が持てない時
・関心が持てない時
・注意が逸らされている時
・疲れている時
まあ、これらの時はいくらでもありそうだが・・・。

いわゆる僕は結構だまされているだろうという仮説が成り立つ・・。

だから、本書を読んで、読書会の他のメンバーの意見を聞いて、注意すべき点がたくさんあった。

読書会メンバーの防衛策で一番気に入ったのが、「選択肢を増やす」でした。

基本的にだまされそうになっている状態って、他に選択肢がないん状態、比較できる選択肢があれば、その価格設定は十分なのかなど吟味できる。会社でモノ買う時に相見積とる感じだ。
本書にもいろいろ防衛策書いてあったけど、これが一番効果的ではないかと思った。

こうやって気を付けないといけないのだが、現在の時代というのは、より簡便反応を使わざるを得なくなっていると著者は主張する。
本来、私たちはできるだけ思慮深く、十分に検討を加えた上で決定を下すことを望んでいるのだが、現代生活の形態が変化のペースが加速度的に速まってきたことで、賛成を反対の立場を注意深く分析するのに適した条件が整わないことが多いとのことだ。

確かにと思う。知らずにだまされてたら悔しさもないが、知ってしまった以上は、だまされたら悔しいので、気を付けて行動しよう!


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posted by air_water at 23:03 | 京都 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 心理学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月01日

評価と贈与の経済学を読んで

評価と贈与の経済学

著者:内田樹 岡田斗司夫




内田さんと岡田さんの対談本です。
対談本なので、話し言葉で読みやすい。各章の項目毎には、深い洞察もあり納得させられるのですが、全体的に何が書いてあったかというと、やや話の流れがつかみ難かったなと思います。

岡田さんが前書きで
@現状はこうだよね
Aもともとこうだったよね
B未来はこうあるべきだよね
Cだから、未来はこうなるよ

という中で、内田さんとCのみが完全に一致していると言って、話の流れ的なものを書いてますが、必ずしも本書はその通りに進んでいるとは思いませんでした。少なくとも僕には・・・。

僕なりにこの本をまとめると、

現在は皆、得られる報酬を考慮してしか行動しなくて、昔の人はいいなとひがむ。ほんとはそれじゃいけないよね。でも考えてみたら、報酬が保証されてた時代なんて過去もなかったよね。やっぱり報酬は、奉仕して運が良ければもらえるもの、あるいは、報酬は周り回って必ずやって来るさくらいに考えて、がんばるのがいいんじゃないかな。
所詮、成功なんて運なんだから、成功したら成功してない人やこれから成功する人に分け与えて、世の中をうまく回さなきゃ!
経済的に成功している人もしてない人も、皆いい人になろう!


こんな感じだ。

これが両氏が掲げる評価経済や贈与経済の成り立ち方だと思う。現在は、自分のことだけ考えて行動して、でも一人ではうまく行かなくて、そしてうまく行かないからなんとか自分だけでもと自分のこと考えてっていう風に、負のスパイラルに入っている。

それは、経済成長しているようなベースがしっかりしている時は成り立ってたんだけど、ベースがぐっと下がってきた場合には成り立たなくって、皆でなんとか生き抜こうという意識が重要になってくる

すなわち、皆が人とために行動し、助け合い、皆でなんとかやっていくと正のスパイラルに移行しなきゃ。

岡田さんはドライにこんな風になっていくと予測し、内田さんは熱く、これしかこれからうまく行く方法はないと説明する。岡田さんの「いい人戦略」という論理的な考え方と内田さんのレヴィナス思想的な「一歩引く」という掛け値なしの考え方に若干の違いを感じるものの、行き着く先がみんないい人になろう!というところが面白い。

僕はもともと競争が得意じゃない。たまにプライドが高いところが駄目なんだけど、皆に奉仕するって活動も好きなので、がんばっていい人になろう!皆に分け与えられるくらいに成功するかどうかはわからんが、その方が楽しいから。

対談の中でいいなあと思った言葉を何個か紹介
・社会制度についての理解が浅いか深いかは世代の問題ではなく知性の問題。
・「こんないいことしてるオレって、ほんとうにいいやつだな」って思えれば、それだけで生命力って向上するんです。
・今の若者は、根源に欲望があると思われたら生きづらくなるから、欲望を消してリアクションだけで生きていくことを選んでいる。
・人間の働く意味って言うのは、誰かを養うためなんですよね。
・親切にすればするほど、親切の総量は増えていく。
・僕自身が壊したいのは、人間には本音があるという幻想
・日本人の得意な、手触りの温かい、きめ細かなサービスで国際的な評価が得られるなら、その豊かな資源を活用しましょう。
・これからの時代、一番頼りになる人間的資質は「人柄の良さ」です。


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