著者:濱口桂一郎
前回、日本の労働社会の概要と大まかな問題点を説明しました。
これから、正社員と非正規労働者が混在する日本をどのように
変えていくべきなのか?についてです。
年功賃金制度を変えて、
正社員の賃金を非正規労働者並みに引き下げていくというのは、
3分の2を締める正社員が従うはずがありません。
年功賃金は、若年時には扶養家族もいないから少なくして、
年を取ったら扶養家族の分もということで、段階的に引き上げていく
という制度ですから、いきなり変えると言えば中高年の世代には
不公平感が生じるでしょう。
これを解決するため、扶養家族分は、賃金でまかなうのではなく、
社会保障としてまかなうのがいいのではないかと主張されています。
(という風に読めたんだけど違うかも?)
そういう法制度に変えていくのは誰か?という問題にも言及されて
います。
つまり、今の政労使3者協議では、非正規社員の代表が漏れています。
つまり、政労使の中の労は、労働組合の代表ですが、非正規社員を
含めた労働者の代表にはなっていないということです。
非正規社員も含めた労働組合を作るべきであり、その最も現実的な策は
現在の企業別組合をベースに正社員も非正規労働者もすべての労働者
が加入する代表組織を構築していくことだと主張されています。
ちょっとはしょりすぎて深みがないけど、本書を読まれると詳しく
分かると思います。
その他に、働きすぎの正社員にワークライフバランスをという項目
では、過重労働問題でよく言われる。脳疾患、心疾患に労災が
おりるのかどうかで基準となる一ヶ月前が100時間、2〜6ヶ月
前が、80時間という話の出所が分かったところもよかった。
2000年7月の最高裁判決(東京海上横浜支店事件)だということ。
その他にも、偽装請負、日雇い労働、雇い止めの問題にも言及され
ています。
コラムでびっくりしたのは、日本では就労しているシングルマザーの
方が、生活保護を受給しているシングルマザーよりも貧しいという
ことになってるらしいです。
生活保護は重要ですが、生活保護を受けている方が、働くよりも
待遇がいいという就労意欲をそぐ様なやり方では、社会全体はうまく
回っていかないのは明らかです。
最近のビジネス本では、「〇〇企業に勤めているものです。」と
企業名で自己紹介するのではなく、「経理です」「〇〇技術を
やっています。」などの職種で自己紹介するようにならなければ
いけないなど書いてあります。
これは、手に職をつけるというか、自慢できるものを持とうという
観点で、そういう人が今求められれいるのです!という主張だと
単に理解していましたが、
日本の労働社会全体の動きからしても、企業に就職から、職務に就職
するという方向に来ているのではないかと思われ、より重要な位置づけ
として捉えなおした次第です。
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