著者:藻谷浩介
副題の通り、経済は人口動態によって動くのだ!ということを数値や推論などをもって示した本です。
なるほどという部分がかなりありました。
この経済は人口動態によって動くのだ!ということの数値的裏付けから今ちまたで言われている経済政策の正否について言及しています。
例えば
・経済成長は解決策ではない
・マクロ政策ではインフレ誘導できない
・日本の生き残りはモノづくりの技術革新にかかってはいない
・出生率の上昇では生産年齢人口減少は止まらない
・外国人労働者受け入れは事態を解決しない
こんな感じです。
ちなみに、著者の主張する有効な対策は3つです。
@高齢富裕層から若者への所得移転
A女性就労と経営参加
B労働者ではなく、外国人観光客・短期定住客の受入
さて、中身を紹介していきます。
著者の一番の主張は、経済は人口動態で動くです。
景気の波より、この人口動態の波の方が影響が大きいという主張です。
その人口動態で注目すべきは、生産年齢人口です。経済学的には、15歳から65歳となっています。
この生産年齢人口が減っているということがポイントで、単に労働力が減るというだけでなく、もっと見逃しがちで重要なポイントは、生産年齢の減少=消費者の減少であるということです。
最近見られる現象、昔ほど車を買わない、そもそも以前ほどモノを買わない、最近余り本や雑誌を読まない、モノを送らなくなったし車にも乗っていない、近頃余り肉や脂を食べないし、酒量も減った、水も昔ほど使っていないなどはを、これは正に退職後の高齢者世帯の行動そのものではありませんか!!と言われています。
この人口動態の波による内需の縮小の影響は大きく、この状況下では、モノが余って、なかなかコストを価格転嫁できず、賃金も下がってという悪循環に入っています。
ちなみに、
・世界同時不況なのに日本人の金融資産は減らない
・日本は世界中から莫大な金利配当を稼いでいる
・中国が栄えれば栄えるほど日本は儲かる
なども数値を使って示されています。
ではその富はどこに回っているのかというと、高齢者です。
そして、その金融資産を持っている高齢者がお金を使わない、ここが問題だとおっしゃっています。将来不安のため貯蓄を消費に回さないわけです。
ただ、遺産相続などで、若い世代にお金が回れば消費してくれのではと考えられますが、驚きなのは、日本では亡くなる側でなく相続する側の平均年齢が67歳だそうです・・・。
これでは相続しても、将来不安のために貯蓄は貯蓄のままですよね・・・。
この生産年齢人口の減少=旺盛に消費する人口の頭打ちが、多くの商品の供給過剰を生み、価格競争を激化させて、売り上げを停滞ないし減少させます。こういう状況では生産能力増強投資はもちろん、新製品開発投資であっても価格転嫁が困難です。さらには在庫が積みあがり、在庫のたたき売りなどの時価の低下、投資した設備も有効に活用されずという事態が起きてしまいます。
こんな中で、著者が目標にすべきは次の3点だと主張されます。
・生産年齢人口が減るペースを少しでも弱めよう
・生産年齢人口に該当する世代の個人所得の総額を維持し増やそう
・(生産年齢人工+高齢者による)個人消費の総額を維持し増やそう
これらをどうやってやるのかというのを具体的に示したのが、前述した@〜Bです。
@高齢富裕層から若者への所得移転
・企業は年功序列賃金を弱め、若者の処遇を改善する。特に子育て中の社員への手当や福利厚生を充実すべき
・高齢者にモノやサービスを買わせるということを、戦略的に追求する。
・政府は生前贈与促進
A女性就労と経営参加
・日本女性の生産年齢人口において、給料の出ない専業主婦や学生や家事手伝いをしている人は、1200万人いる。
・これだけの数の女性が新たに給料を得、その分を夫に気兼ねすることなくモノやサービスをかってくだされば、日本の内需は革命的に向上する。
・外国人労働者を導入するよりも、日本語がしゃべれて、その多くが高等教育を受けている女性が活躍する方が、追加的なコストがかからない。
・日本人女性の就労率45%は、世界的にみてもずいぶん低い。例えばオランダは70%。
・日本では財布の紐を握っているのは8割が女性、女性が企画した方が商品は売れるから、女性経営者を増やすべき。
・女性が働いている方が、出生率が増える傾向にある。理由はおそらくダブルインカムによる金銭的問題。
B労働者ではなく、外国人観光客・短期定住客の受入
・生産者ではなく消費者を外国から呼び込もう。
・副作用のない効率的な内需拡大
・日本を訪れる多くのアジア人観光客にとってはビザ取得が困難、ここをゆるめよう。
・わざわざ日本に来るようなアジア人観光客は、日本人などよりもよほどいい家に住んで贅沢な暮らしをしている人、不法就労の問題はないだろう。
それぞれの対策の要点は上記のような感じでした。
全体を通して、実際の数値を使った証明で納得感のある本でした。示しているデータは、税務署による全数調査を使われおり、ネットで簡単にみれるデータだということです。
我々が見逃しがちなのは、絶対数です。
完全失業率などの、パーセンテージだけでは、経済の実態を把握したことにはならない。比率と絶対数の二つをみて見極めるべきだというのも著者のもう一つの主張だったと思います。
これからニュースをみる場合には、人口動態、率に加えた絶対数は?と考えるようにしたいと思った次第です。
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ます!
今年も宜しくお願いいたします。
藻谷浩介さんの本ですね。。。
実は、相当前にこの本を買って、最後まで読んで
居ません(笑)。。。
藻谷浩介さんがcs放送テレビに出演していて、
解りやすい、解説をする人だな〜そんな乗りで買った本でした。
大晦日の、朝まで生テレビにも出演してましたが、田原総一郎の変な突っ込みにあって、可哀そうでしたね。。。
もう一度読み返してみますね〜(=^・^=)V
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
朝まで生テレビ出てたんですね。見たかったなあ。
ほとんど同意といった感じの本でしたね。
今自民党は公共事業を増やす方向に向かってるけど、藻谷さんとは、方向性が違います。
ぼくにはどちらが正しいかの判断はできませんが、自民党の政策が効果があるのか否かを見て生きたいと思いました。
田原さん何をつこっまれたんでしょう?