著者:金子哲雄
昨年お亡くなりになられた流通ジャーナリストの金子さんの本です。死ぬ間際にご自分で執筆された本です。
金子さんは、明石家さんまのホンマでっかTVでよくお見かけした人です。もともと発言の内容は、ちょっと胡散臭いなと思いながら見てましたが、そのコメントに嫌みはなく、「役に立つのかどうか分からないがおもしろい」というコメンテーターで好感を持ってました。
僕が金子さんを大好きになったのは、たかじんのそこまで言って委員会に出られた時でした。
いつものちょっと怪しげなコメントから始まるのですが、番組が進むにつれて、おちゃらけた内容からまじめなトークになり、生き方とか学び方とかの姿勢みたいなものが垣間見え、この人は本当にすごい人なんじゃないかと思うようになり、瞬間的に見る目が変わりました。
それからは、おちゃらけたコメントの奥に何かスゴいモノを持っている人と思いながら見てましたが、昨年の突然の訃報本当に驚きました。
この本を読んで分かったのですが、やっぱり一流の人でした。
人生を考えながら、真剣に向き合いながら生きていた人です。
過去形でしかかけないのが残念です。
この本は金子さんが流通ジャーナリストとなるまでの過程や流通ジャーナリストしてやってきたことをまと、そして病気になってから死ぬ直前までを描いた本です。
高校の頃に、数学の得意な友人に出会い、数学が好きで面白いと思っている彼には数学では勝てないと思い。自分も好きなもので勝負しないとと考えるようになる。
そして自分の好きな、「お買い得情報を伝える人」になる、と目標を決められます。
端折りましたが、お母さんの教育方針なんかもすごく勉強になりました。
本書には「商売の基本は相手を喜ばせることだ」や「その誰かが喜んでくれるなら・・・私はうれしい」、「誰かに喜んでもらいたい、それが自分の信念だったではないか」など、全体を通して「相手を喜ばせる」という言葉が、随所に出てました。そこから考えると、金子さんの根底には「相手を喜ばせる」という目標を持たれていて、その手段が「お買い得情報」だったんだろうと思います。
独立してとんとん拍子に成功の階段を上がられるのですが、その裏には成功のための考えや努力というものが伺えました。
自分の記事の入った雑誌を付箋付きでプロデューサーの目に付くところにばらまいて置くなど、かなりの戦略家です。
P69に書いてありますが、この姿勢が大事なんだと思います。
「チャンスはどこに転がっているかわからない。一つだけいえることは、自分はどんな仕事でもグッドパフォーマンスを心がけていた。どんなに小さな仕事でも、それは必ず誰かに向けられている。その誰かが喜んでくれるなら、それがたった一人でも、私はうれしい。そう考えて、ずっと仕事をしてきた。」
それからは目を潤ませずに読むのが困難な話になってきました。
肺カルチノイド
金子さんの病名です。中でも、金子さんは特殊な組織型ということで数千万にに一人という発病率の病気だそうです。
この病気になってから、金子さんは新しく、医療について学ばれていきます。がんの専門書も20冊以上読んだそうです。
何しろ、症例も少なく助かる確率も低いということで、治癒率を気にかける大学病院からはことごとく治療を断られ、自分で勉強するしかないという思いもあったのだと思います。
ガンに少しでも効果のあること、睡眠方法、食事療法などいろいろと試されます。
そのかいあってか、友人の紹介もあり、血管内治療やIMRT、医療コーディネーターの方の治療などを受けることができ、好転していきました。
血管内治療・・・太股からカテーテルを入れ、肺の腫瘍につながっている血管に塞栓剤を注入し、栄養分を腫瘍に流さないようにすることで腫瘍を壊死させる治療法
IMRT・・・強度変調放射線治療の略称で、ガンの部位に対し、約1ミリ単位で放射線を照射し、遺伝子レベルからガンを破壊するという治療法。正常な部位に影響を与えずに治療できる
もっとも金子さんの心の支えになったのは、お医者さんの対応だそうです。
「堀先生は、明らかに私を人間として扱ってくれた」
「野崎先生と嵯峨崎さんの人柄にもまた癒された」
やっぱり不安を抱える患者にとって重要なのは、信頼できる医者の存在なのだろうと思いました。
しかし、一定の治療の効果はあるのですが、徐々に体はむしばまれていきます。
金子さんのすごいのは、ガンであることを告知せずに、通常通り仕事をし、死ぬ最後までそれを隠されていたことです。病気になってもベストパフォーマンスを心がけ仕事をこなされます。仕事があるからこそ人生に張り合いができ、元気さを維持し続けられたのかも知れないと思います。僕ならどちらを選ぶだろう、治療に専念するだろうか、仕事を続けるのだろうか、不安を打ち明けずに入れるだろうか?
そして死期が近づいていることを悟った金子さんは、人生最後の仕事として、自分の死に方をプロデュースされます。
自分が死ぬことで親族が揉めるようなことはあってはならないと思い、葬式代や遺言などを残すことに取りかかります。自分の葬式をプロデュースする中で、相手の喜ぶ顔を思い浮かべ、うれしくなったと言われています。本当にすごい。
最後まで相手を喜ばすことを考えながら死んでいった人です。
もうテレビの向こう側に現れないのかと思うと本当に残念です。
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金子さんが亡くなられた事実は知っていましたが、ご自身のお葬式のプロデュースまでされていたとは知りませんでした。
テレビで何度か見た事はありましたが……凄い人だったんですね。
最近、フィクション作品にどっぷり浸かっていますが、実在した人の本には、空想には絶対再現できないような力を感じます。
>どんなに小さな仕事でも、それは必ず誰かに向けられている。その誰かが喜んでくれるなら、それがたった一人でも、私はうれしい。そう考えて、ずっと仕事をしてきた。
こういう考えを私も持とうと思います。
自分のブログ書くだけでも手一杯なので書けるかどうか分かりませんが、見てみますね。
そうなんです、すごい人でした。
本読むとやっぱりすごい人だったと思いました。
本当に、おしいです。
「どんなに小さな仕事でも、それは必ず誰かに向けられている。その誰かが喜んでくれるなら、それがたった一人でも、私はうれしい。そう考えて、ずっと仕事をしてきた。」
この考えいいですよね。見習います!
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