スポンサードリンク

2013年10月14日

『来るべき民主主義』を読んで

『来るべき民主主義』を読んで

著者:國分功一郎




忙しいけど読んじゃいました。
暇と退屈の倫理学』読んですっごく面白かったので、こちらも期待して読みました。まずは読みやすかったです。しかも深いのに分かりやすい。

最初は、小平市に道路ができる問題をとりあげてます。國分さんは道路建設反対側を応援する形で実際に活動されています

文章のテンポがよく、ぐんぐん読み進めれます。國分さんはツイッターでフォローしているので小平市関連のツイートをされているのは知っていました。しかし、自分には関係のないことと思ってスルーしていました。この本を読むと、その課題は全然自分と関係のないことではなくて、国全体の問題だということがわかり、スルーしてたのを後悔しました。
少しでも拡散のお役に立てれたら良かったのにと・・・。

自然豊かで気持ちいい小平市に50年前に計画された道路建設計画が再び立ち上がりました。住民たちは自然を守るために反対し、住民団体の頑張りでなんとか住民投票が行われるまでになりました。しかし、憎き小平市の小林市長は、なんと50%以上の投票率がないと不成立という要件をつけました。ちなみに小林市長の市長選挙の投票率は37%です。「お前の選挙が不成立だよ。」と陰口を叩かれるのは必死の要件です。何故そうまでして道路建設を推し進めなければならないのか?こっちの方も気になりましたが、話は進みます。
いろんなイベント開催などの末、投票日を迎えますが、集まった票数は35%で無効となりました。
50%以上の投票率がないと不成立という要件は、反対派は当然投票に行きません。当然37%のほとんどが賛成票だと思われます。著者は80%以上は賛成票であるだろうと控えめに見積ますがだれがどうみたって95%以上は賛成票でしょう・・・。不成立だから開票もしないんだって・・・。
市長を市長たらしめる票よりも、より多くの道路建設中止を願う票が集まったわけですが、道路建設は続行されることになるのです。まだ開始はされてないみたいですが、不思議な民主主義です。

こんな問題から、國分さんは民主主義とは何か?を考え始めます。

小平市の問題から民主主義を見直す際の課題は、主権者は民衆であるにもかかわらず、自分たちが住んでいる街に道路を作るという計画にすら、住民は口出しできないことである。
これを著者は、近代政治哲学の単純にして重大な欠陥と指摘する。
つまり、民主主義は、民衆が立法府に参画する代議士を投票で選ぶということで民衆主権を担保しているというが、この前提の「主権は立法権である」が不十分で、実際に政策の多くを作って決めているのは行政機関である。行政機関の実情は、執行するだけでなく、多くの物事を決めているのである。
つまり行政機関への関わりを増やさない限り、本当に民主的とは言えないのではないか?ということ。

この解決策として強化パーツという考え方を取り入れ、その強化パーツのいくつかを紹介している。

その前に、何故強化パーツなのか?ということで、現代フランスの哲学者ジル・ドゥルーズの哲学を引用している。ドゥルーズは、「法とは行為の制限」、「制度とは行為のモデル」とし、法という否定的・消極的なものによってではなく、制度という肯定的・積極的なものによって社会を定義したほうがよいと主張。ドゥルーズの結論は民主主義とは、多くの制度とごくわずかの法を持つ政体であるとしている。

そしてより多くの制度を作ろうというのが強化パーツの考え方である。

紹介される強化パーツ
・住民投票制度
・ファシリテータ付き、住民・行政共同参加ワークショップ
・パブリックコメント
いずれも今すでにあるものだが、小平市の住民投票のように、それが有効に活用されていない。むしろパブリックコメントなどは、ちゃんとパブリックコメントは頂いておりますというお墨付きに利用されているケースさえある。
これら制度を有効に活用し、住民の意見を取り入れる制度を多数作っていくことが、民主主義へ近づくことだと主張されます。

さて、民主主義へ近づくと少し周りくどい言い方をしましたが、これにも意味があり、この本の題名でもある『来るべき民主主義』ともつながります。
ジャック・デリダは、人間の多数性から、完全な民主主義の状態にはなれないといい。しかし、それでも民主主義に近づくように、民主主義を追い求めるべきだと主張されます。
そういう意味から、デリダは来るべき民主主義と意味深な言葉を使います。

今ある議会制民主主義という制度をぶっ壊すではなく、それを受け入れ、よりよくなる方向へ制度を拡充し、本来的な民主主義へ近づいていくことが大切なのでしょう。

その内、読書会でも取り上げられそうなので、みんなの感想も聞いてみたいな。


にほんブログ村 本ブログ ビジネス書へ にほんブログ村
ランキングサイトに参加しています!!
クリックして頂けるとありがたいです!!

posted by air_water at 16:26 | 京都 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月30日

ヒーローを待っていても世界は変わらないを読んで

『ヒーローを待っていても世界は変わらない』

著者:湯浅誠




民主主義を考える本です。

題名が著者の考えを表しています。
要点だけ言うと、橋下さんみたいなヒーローを待っていてもダメだ。一人ひとりが、自分の頭で考え、やれることをやっていこう!そうじゃないと民主主義なんて制度はなりたたない。こんな感じです。

最初の方は、民主主義について、著者が外から内から政治を経験し、理解してきたことを丁寧にん説明されています。すなわち、民主主義というものは、非常に面倒くさく疲れるシステムであるということ。僕も最近思うけど、人間て、生きてきた環境ですごく意見って異なるんだ。ちょっと前までは、メリットデメリット法とかで、ある課題に対する利点と欠点を見える化しながら意見を出し合えば、当然一つの結論に達するはずだ!なんて思ってたけど、どうもそうはならないみたいだ。もちろん、メリット・デメリット法で見える化するのは、お互いの理解を深めるのに非常に効果的な面もあります。

討論形式の番組によく呼ばれる著者も下記のように説明している。
 私の反対側には、私と相容れない意見を持っている方が座ります。その方たちは極めて真剣に、私と真っ向対立する意見を述べてこられる。反論を試みつつも、私は何度も「この人は人生何十年を生きてきて、その実感からこうした意見に達している」という重みと、その意見の堅さを感じてきました。
 私にも、生活に苦しんできた人たちとずっと接してくる中で形成された譲れない意見があるが、この人にも譲れない意見があり、世の中とはこうした相互に対立する意見を持つ人たちで構成されていると、しみじみと実感しました。


こういう譲れない意見を持った人たちがいる中で、民主主義というシステムは非常に調整に苦労する面倒なシステムになっています。

著者は、まず何よりも、民主主義というのは恐ろしく面倒くさくて、うんざりするシステムだということを、みんなが認識する必要があると思います。「民主主義がすばらしい」なんて、とてもじゃないが、軽々しくは言えません。とまで言われています。

著者は、ヒーローを待って、ヒーローに頼るのではなく、自分たち一人一人が、考える、決める人になって実行しようといいます。橋下さんのように実行力のある人に頼るだけでは、実際に描いた未来とは異なる方向に行く可能性もありますよとおっしゃられています。

実際問題としては、仕事や介護でいっぱいいっぱいという人は考える暇がない。じっくり考える時間を必要とする民主主義において、恐らく大半の人が、考える余裕がないのです。これも民主主義の課題です。

そんな中でも、我々がどうやって行けばいいのかを具体的な事例として挙げられています。


介護システムや保育システムが充実しないと何もできないと言わずに
共同保育のサークルを作ったらどうでしょう?
・生活上どんな困り事があるかを聞く集いを開くのもいい。
 etc
などなど、身近な問題から取り組むことが重要なのだと主張されています。

最後は、こんな言葉で締められています。
ヒーローを待っていても、世界は変わらない。誰かを悪者に仕立て上げるだけでは、世界は良くならない。ヒーローは私たち。なぜなら私たちが主権者だから。私たちにできることはたくさんあります。それをやりましょう。その積み重ねだけが、社会を豊かにします。

言ってることを実際に行動に移して来られた人の言葉だから重みがありますし、実際この複雑化した社会の中で、一人ひとりが少しずつ課題を解決していくというのが正しい解決策のような気がします。ボタン一つで問題解決みたいな解決策はないのでしょう。




にほんブログ村 本ブログ ビジネス書へ にほんブログ村
ランキングサイトに参加しています!!
クリックして頂けるとありがたいです!!

posted by air_water at 15:40 | 京都 ☔ | Comment(2) | TrackBack(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月24日

日本中枢の崩壊を読んで2

日本中枢の崩壊

著者:古賀茂明




昨日は、本の内容にほとんど触れなかったので、少しだけ内容に
触れたいと思います。


3.11の大震災に関して

私が最も驚いたのは、震災が起きるやいはな、信じられない
ことに、これを増税のための千載一遇のチャンスととらえる一群の
人たちが即座に動き始めたことだ。震災対応よりもはるかに
スピーディな反応。驚くというより悲しかった。
」(p.23)

「マスコミから回ってきた官房副長官の一人の懇談メモを見て
私は驚いた。<これは、間違いなく歴史の一ページになるよ>
と高揚した発言」(p.25)

「東電の問題の今後をどう解決するのか−私は、一つの私案を
まとめて経産省の官房長や資源エネルギー庁の担当課長などに
それを伝えた。そして、それを経済誌『エコノミスト』に寄稿
しようとした。しかし、それは官房から止められた」(p.34)

悲しい。震災当日、中国出張でNHKのニュースを就業後とかに
見ていたが、震災対応にかこつけて、予算案を通そうとしていた
節がありありと感じられる報道もあった。
震災直後に総理大臣が現地入りするというパフォーマンスと
取られそうな行動も行っている。
一連の震災対応の遅れは、震災を増税や予算案通過、支持率UPなど
に利用するために震災対応とその後の政局という二つのことを同時に
進めたことに起因するのだと思う。


骨抜きにされた公務員制度改革

「菅直人内閣が、この日、<退職管理基本方針>を閣議決定して
しまったのだ。<基本方針>は安倍政権時代に改正された
国家公務員法のなかで禁止された<天下り>の斡旋の禁止措置を
あからさまに骨抜きにする内容だった。
」(p.89)

「菅政権は、国家公務員法で禁じられているのは定年前の<推奨
退職>に伴う天下り斡旋であり、中高年の現役職員が公務員の身分
を維持したまま出向したり派遣されるのは、これに当たらない

した。・・・・天下りが問題しされるのは、省庁による民間企業
への押付け人事・・・・天下り先との不明瞭な関係・・・この現象
は、公務員が退職しているか現役であるかにはかかわらず・・・・
現役出向のほうが癒着の構造を生みやすい
・」(p.90-93)

「もう一つ大きな問題がある。・・・独法の天下り役員ポストに
ついては2009年秋から公募が義務付けられていたが、現役出向
で就く場合は、公募しなくても良いと改悪された
。」(p.94)

民主党の不甲斐なさ、官僚のずる賢さを感じた部分です。


一人奮闘した長妻大臣

「そんななか、民主党政権の閣僚のなかで唯一、野党時代の方針を
貫こうとしたのは、先述した長妻昭氏である。」(p.191)

「厚労省の役人も、他の閣僚と違って役所に擦り寄らず、政治主導を
貫こうとする長妻氏に手を焼いていた。
」(p.192)

「象徴的な例が、先述した<退職管理基本方針>を受けて、役人が
天下りの代わりに現役のまま出向できる団体を追加しようとした時の
対応である。ずらっと並んだ出向先として追加しようとしている
団体はこれまでの天下り先。・・長妻氏は・・一人だけ頑としてこれ
を認めなかった
。・・・出向先リストが回ってきたとき、私は目を
疑った。厚労省だけ真っ白で何も書いていない。長妻氏はすごい事を
やったな、これはひと波乱ある、と思った。果たして、後に長妻氏は
事実上の更迭の憂き目に遭う・・・。
」((p.192)

長妻さんが、大臣を辞められてメディア出演されてた時は、すごく
悲しそうにされてた。これらの事をメディアはなぜ大々的に報じない
のかが悔しい。その時の長妻さんのコメントは、官僚と上手くやる
ことができなかったと、自責の念で締めくくられてた。本当は、
たくさん言いたいことがあっただろうに・・・。


他にもたくさん紹介したいことはありますが、このくらいにして
おきます。少しでも読みたいと思ったらぜひ読んでください。

この記事のトップへ





にほんブログ村 本ブログ ビジネス書へ にほんブログ村
ランキングサイトに参加しています!!
クリックして頂けるとありがたいです!!

posted by air_water at 09:10 | 京都 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月23日

日本中枢の崩壊を読んで

日本中枢の崩壊

著者:古賀茂明




たかじんのそこまで言って委員会の中で、三宅先生が紹介されて
いた本
です。尖閣ビデオを流出させた一色さんが出演された回で
一色さんに対して、なぜ実名ではなく、sengoku38という名前で
投稿したのか?という問いで比較に出された本です。
経済産業省の役人の方で、実名で天下りなどの真実を暴露されて
います。一色さんも実名で投稿すべきではなかったのかという
指摘でした。
三宅先生の力説に、すごく興味を持って買いました。

ちなみに一色さんの回答は、尖閣ビデオをyoutubeに投稿した時点
では、そのyoutubeの持つすごさというものを認識しておらず、
実名で投稿すればすぐにつかまり、youtubeで広がらなかった場合
尖閣ビデオを世に出すという目的を達成できないと考えられてた
そうです。
その前にも、CNNに投稿し無視されたとのことで、一色さんの
取った、実名ではなく、sengoku38というハンドルネームで投稿された
行動も納得のいくものでした。

さて、前置きが長くなりましたが、この『日本中枢の崩壊』という
本、日本人全員に読んでもらいたい本です。

政治の本はあまり読んだことないのですが、本ではここまで
書けるのだなと感心しました。
既得権益を守るために、あらゆる手段を使う官僚のずる賢さに、
腹立たしさを覚えました。


官僚個人個人が最初から官僚になって、癒着や天下りでがんがん
稼いでやるぜと思って入省するわけではなく、日本を俺の手で
変えてやるぜと意気込んで入ってくる方が大半だと思いますが、
組織的腐敗のため、その意気込みも年数がたつにつれ消えていき
その意気込みを消さない人は、やがて外に出て行くという構造に
なっているようです。

その点では、著者の古賀さんが外に出ず、まだ中にいるのが不思議
なくらいです。ただ、大臣官房付という何の仕事もさせてもらえない
役職にはついているみたいですが・・・。

古賀さんは、改革推進派で、一貫してがんばってこられた方です。
本の中盤以降では、古賀さんがこれまで実行されてきた改革に
ついて書いてあります。誰が足を引っ張り、誰が助けてくれたのか
も実名で公開されていますので、今の日本を変えてくれる、良くして
くれるのは誰なのかも良く分かりました。


私が、この本で一番の見どころと思うのは、公務員制度改革のところ
です
。政治主導とかありますが、改革と一緒に変えなければいけない
のは、公務員制度です。また官僚の体質でもあります。
既得権益維持に貢献した人が賞賛されるのではなく、国民のために
日本のために貢献した人が賞賛されるような組織にならなければ、
この国は本当に良くならないのだと分かりました。
国を変えることができる官僚の方々には、本当に頑張ってもらいたい
と思いました。

政治が悪い、官僚が悪いと漠然と皆思っていると思いますが、
(私も同じ)政治の、官僚の何が悪いのかを良く理解できるのでは
ないかと思います。

続きをみる



にほんブログ村 本ブログ ビジネス書へ にほんブログ村
ランキングサイトに参加しています!!
クリックして頂けるとありがたいです!!

posted by air_water at 23:59 | 京都 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。