著者:内田樹
内田先生の本です。こないだ「先生はえらい」という講演を聞きに行くことになったので読んでみようと思った本です。
講演を聞く前に読みはじめ、聞いた後に読み終わった本です。
基本的な主張は、そのほとんどが講演でも聞けましたし、日本辺境論の内容ともかぶっている面もあり、面白い洞察というのは、ここ数回のブログで全部いい尽くした感がありますが、それとは別の面白い部分を取り上げて行きたいと思います。
■教育を良くするには(P.20、P.183)
教育には政治やビジネスの論理を持ち込まないでくれという主張は、講演でも聞いた内容である。じゃあこれから教育をどうしていくの?というのが少し書かれている。
教育にとって必要なものを消去法で抽出すると最後に残るのは、教師と生徒である。教育行政や経済界の人たちはいろんな理論展開で教育改革案を出すが実際に誰がやるのか?という問題にはまったく言及しないというのが内田先生の見方である。結局は、教師が変えていかなければならないのである。
従って教育改革の成否は、教育改革を担うべき現場の教員たちをどうやってオーバーアチーブへと導くか。彼らのポテンシャルをどうやって最大化するかにかかっています。(P.20)
オーバーアチーブというのは上司が「やれ」と命令することのできる問題ではなく、「やるしかない」という意識が自発的に高まることでしか達成されないのです。(P.183)
■教養教育の本質(P.91)
ある専門領域が有用であるとされるのは、別の分野の専門家とのコラボレーションする事によってのみだからです。(P.91)
専門教育が有効に働くのは、別の分野とのコラボにおいてですとおっしゃています。
そしてその別の分野の人とのコラボができるようなコミュニケーション能力を養うのが教養教育であると言われています。
■ブレイクスルーとは(P.156)
ブレイクスルーとは、「君ならできる」という師からの外部評価を「私にはできない」という自己評価より上に置くということです。(P.156
)
自分自身で設定した限界を取り外すことです。
■イノベーションとは(P.221)
「ジョブ」と「ジョブ」の間のグレーゾーンには、ミスの芽だけでなく、ビジネス・チャンスの芽もまた潜んでいる。イノベーションというのはつねに「誰の責任範囲でもなく、誰の権限も及ばないところ」に生まれます。(P.221)
ここは、やる必要はないんだけど、面白そうだからやってみようってところからイノベーションは生まれるんだろうな。誰かの専門分野と専門分野をつなぐ、誰も取り組んでいないところとか。これら一連の話は納得です。
■就職する時の心構え(P.208、P.212、P.228)
就職試験の面接官が口をそろえて言うのは、会って5秒で合格者は決まるというものです。その判断基準は、この人と一緒に仕事をしたときに楽しく仕事ができるかどうか?だそうです。もっと俗に言うと、今目の前に立っている受験者がそこにいるせいで、自分の気分が「少しよくなった」のか「少しわるくなったのか」を吟味している。(P.212)
会社とは共同の場で、個人的に能力が高くても集団のパフォーマンスをあげることに貢献できない人は、ここには受け入れられないのです。(P.210)
就職面接のコツは、「自分を良く見せよう」と思わないで、その場にいる人たちが気分が良くなるようにふるまうことです。集団面接でディベートなんかやるときに、周りの人間を黙らせて、ひとりで滔々と自説を述べるような人間はまともな組織はノーサンキュー。皆が気分良くはなせるようにファシリテイトするタイプの人間が高く評価される。
ほかにも、宗教教育は可能か?とか説明してあったけど、難しくてあまり良く理解していないのでパス。
内田先生の講演と同時並行的に読んだ本で、読む前に「ほんとかなあ?」とクエスチョンが灯っていたところも講演でより深い内容を聞いた後では、そうそうと納得しながら読めた。著者を信じるかどうかの心理的障壁も本の理解度を左右するなと感じた。
著者が主張する学びの本質に対して実感した。
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